文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
2006年の春から「会社法」が施行されると、有限会社が廃止になります。エッ?会社がなくなってしまうの?日本に「会社」は約250万社あり、そのうち142万社ほどが「有限会社」です。日本の会社が変わるのでしょうか?今回は新しい法律「会社法」について、解説します。<INDEX>
有限会社はなくなっちゃうの?(1P目)
有限会社のメリット(1P目)
これからの株式会社は2タイプ(1P目)
今までの有限会社は、株式会社にしたほうが良いの?(2P目)
資本金1円で会社が作れる!(2P目)
有限会社はなくなっちゃうの?
という声も聞きますが、その心配はいりません。「新会社法」施行前に設立されている有限会社は、今までどおり、有限会社という言葉を商号に使うことが認められます。新「会社法」施行後は、有限会社の設立ができなくなる、ということなのです。今まで、「会社」に関わる法律は、商法や有限会社法などバラバラに存在していたのですが、それが一本化され、内容も現代的にリニューアルされることになったのです。
リニューアルされる特徴を簡単にまとめると、ポイントは次のとおりです。
◎条文がカタカナからひらがなへ、文語体が口語体へ
◎株式会社を簡単に作ることができ、制約はシンプルになる
◎M&Aが柔軟になる
◎新しい役割「会計参与」や新しい集合体「合同会社」「LLP」ができる
有限会社のメリット
カバンひとつで起業できる? |
◎取締役が1人でも会社を作れる
◎取締役の任期はない
◎取締役会を置かなくても良い
◎監査役を置かなくても良い
◎決算公告の義務がない
個人事業から会社組織にしたいと思ったときには、まずは有限会社からスタートでした。というのも制約が緩く、気軽に創業できたからです。
これからの株式会社は2タイプ
今までの株式会社の枠組みでは、大会社と中小会社が一緒の土俵で、同じルールに基づいた規制を強いられていました。大会社を基準にしていたため、中小会社にとっては厳しく、負担が大きかったのです。事業活動の実態にそぐわないルールにも従わなければなりませんでした。新「会社法」施行後は、2つのタイプの株式会社が存在することになり、中小企業にとっては株式会社であっても大企業並みの企業統治は必要でなく、柔軟な組織形態をとることができるようになります。2つのタイプの株式会社とは、1つは上場会社や大会社を想定した「株式譲渡制限をしない会社」、もう1つは今までの有限会社に近い「株式譲渡制限会社」です。
●株式譲渡制限をしない会社
今までどおり、取締役会、監査役、委員会などを設けて、適切な企業統治を行うことを義務付けられています。その理由は、上場会社は広く投資家に向けて情報開示をする必要があるからです。
●株式譲渡制限会社
株式会社と有限会社のイイトコ取りといっても良いでしょう。シンプルなルールで、企業経営の自由度が高くなっています。その特徴は、
◎取締役が1人でも会社を作れる
◎取締役の任期は10年まで延長可能
◎取締役会を置かなくても良い
◎監査役を置かなくても良い
◎決算公告の義務はある
2つのタイプの株式会社を選ぶことができるので、経営者は会社の実力や事業規模などに応じた企業統治を行えるようになります。
では、有限会社は株式会社にした方が良い?次のページで解説しましょう。