2ページ目 【ロシア連邦の構成要素と少数民族】
3ページ目 【日本にとってのサハ共和国の重要性】
【ロシア連邦の構成要素と少数民族】
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ロシア連邦を構成するさまざまな主体
ロシアは、89の構成体によって構成されています。アメリカが、50の州により構成されていることと、基本的には一緒です。ただ、アメリカよりはずいぶんややこしいしくみになっています。
おもな構成体の種類は次の通りです。
・共和国 ロシア連邦の中でも、潜在的な主権を持つとされているもっとも高度な政治体です。共和国は連邦政府と1992年に連邦条約を締結し、連邦と共和国の役割を規定しました。共和国は独自の憲法を持っています。21の共和国があります。
・自治州 共和国よりもやや自治度の低い地域ですが、高度な自治権が与えられています。といっても自治州はユダヤ自治州(これもシベリア)しかありません。しかも、実際にはユダヤ人10%、ロシア人80%という割合です。
・自治管区 少数民族保護のために設けられている構成要素です。自治権はありますが、主権は認められていません。また、チュコト自治管区(ロシアの東端)以外の自治管区は、基本的にロシア連邦直轄の州の中に編入されています。
・州 ロシア連邦を構成する基本的な構成体です。オブラスチともいい、49の州があります。
・地方 基本的には州と同じと考えていいと思います。日本海沿岸のウラジオストックなどがある沿海地方などがそうです。
その他、州に属さない連邦都市が2つ(モスクワ・サンクトペテルブルク)あります。
また、広大な国土を管轄するため、これら共和国や州を管轄する連邦管区が7つあり、大統領の全権代表がおかれています。サハ共和国は「極東連邦管区」におかれています。この連邦管区は2000年になっておかれたもので、中央政府の集権化の一貫であるということで批判もあります。
ロシアの少数民族
とにもかくにも、なぜこのようにロシアはいろいろな共和国や自治州がおかれているかというと、それはたくさんの民族がすんでいる国家だからですね。
もちろん、日本よりちょっと多いくらいのロシアの人口の、8割はロシア人です。しかし、逆をいうと2割の少数民族がいるわけです。彼らをないがしろにしていると、彼らの反発を招き、ロシアは危機に立たされるかもしれません。
ただでさえ、一時チェチェン共和国がロシア連邦からの離脱を求めて武力闘争を繰り返しましたからね。
さて、ロシアの少数民族にはどのような人たちがいるかというと、
○フィン・ウゴル系 フィンランド人と同系統の民族です。フィンランドの近くや、ウラル山脈の北西に住んでいます。
○トルコ系 アジアにはたくさんのトルコ系民族が分布しています。ロシアではウラル山脈の南西側や、黒海とカスピ海の間のカフカス地方にアゼルバイジャン人と同系統のトルコ系民族が住んでいます。
さきほどもいったとおり、サハ共和国のヤクート人もトルコ系です。
○カフカス系 カフカス地方の民族です。チェチェン共和国の人びとなどがそうです。ロシアの南、グルジア人と同系統です。
○モンゴル系 バイカル湖(南シベリア)のあたりに居住しています。
○サモイエド系 ロシアの北方も北方、凍てつく大地に居住している民族です。
○ユダヤ系 ロシアにもユダヤ系の人びとが多く住んでいます。だいたいウラル山脈以西に住んでいます。イスラエルに移住した人びとも少なくありません。
○その他 もっとも東の地域にはチュコト族が居住していますが、近年人口の減少が著しいとのことです。また、イヌイット系のユッピック族もこの地域に居住しています。
そして、今なぜ、日本は「サハ共和国」なのか
しかし、前ページの外務省のプレスリリースにも、サハ共和国は「戦略的意義を有する地域」とあります。これから、サハと日本との関係は深まっていくのでしょうか。次のページで見ていきましょう。