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レーガン時代とアメリカ(3ページ目)

6月5日に亡くなったレーガン元アメリカ大統領。彼の功績と、今のアメリカに与えているさまざまな影響について、考えてみました。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【第40代アメリカ大統領ロナルド=レーガンとは】
2ページ目 【冷戦の早期終結はレーガン大統領の功績か】
3ページ目 【今なおアメリカに強く残るレーガン大統領の正負の遺産】

【今なおアメリカに強く残るレーガン大統領の正負の遺産】

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今につながるタカ派的な外交姿勢


レーガン氏の強硬な外交姿勢は、今のブッシュ政権に通じるものが多々あります。

ベトナム戦争で傷付いた威信を回復し、「強いアメリカ」を再興するため、レーガン氏はあらゆる手段でアメリカの強さを見せつけることを惜しみませんでした。

1983年にはカリブ海の小国、グレナダに侵攻、あっという間に政権を転覆させます。規模はだいぶ異なりますが、イラク戦争に似た図式です。キューバの軍事的影響力を危惧してのものでした。

1986年には北アフリカのリビアを「テロ支援国家」として制裁を加えるべく、空爆を実行します。まさにテロ戦争の先べん、やられたらやり返す的な政策の先駆けです。これも規模は異なりますが、9.11後のブッシュ政権のやり方に相通ずるものがあります。

この流れは、レーガン氏引退後もアメリカの常套手段として続いていきます。1987年にはレーガン政権の副大統領だったブッシュ大統領(父ブッシュですね)によるパナマ侵攻。民主党のクリントン大統領にいたっても、1999年NATO軍という名目でユーゴスラビア(現在のセルビア・モンテネグロ)を空爆。「従わないものには軍事行動を」ということです。

レーガニズムを拡大継承するブッシュ大統領とネオコンたち


そして今のブッシュJr.政権です。同時多発テロに対抗し、「やられたらやり返す」の姿勢でアフガンで軍事行動。そしてアメリカに従わない「悪の枢軸」の一国イラクに侵攻、政権転覆。レーガン路線を、もっと規模を大きくして行っています。

なにせ、同じ共和党ですから。そして、ブッシュ大統領は父よりも、レーガン氏に深く傾倒しているようです。「強いアメリカ」。これを守るため、ブッシュ大統領やネオコンと呼ばれる取り巻きの新保守主義者たちは、強硬な外交政策を押し進めているわけです。

はたして、これはレーガン政権の功なのか罪なのか。評価はまだできませんが、ブッシュ大統領がレーガン氏の再興した「強いアメリカ」を強く意識するあまり、今イラクでにっちもさっちもいかなくなってしまった状況を作っていることは事実です。

今のネオコンたちの台頭も、レーガン時代なくしてあり得なかったでしょう。彼らの多感な時期、レーガン政権の「強いアメリカ」像が彼らに強く刷り込まれたわけです。ネオコンたちは、レーガン時代の落とし子のようなものだといったらいいすぎでしょうか。

レーガン氏は、ベトナム戦争とウォーターゲート事件に揺れ、自信をなくしたアメリカ人にもう1回、強いアメリカの夢を見せ、そして実現させました。冷戦も終結へと導きました。これはアメリカにとっても世界にとっても正の遺産です。

しかし、レーガン氏の政治哲学が増幅され、今のブッシュ政権のように「従わないものは叩き潰せ」的な強硬な外交路線に影響を与えているとしたら・・・さっきもいったように、現時点での評価は性急でしょうが、私は「負の・・・」としか思えない面があるのです。

功罪なかばするレーガン時代。この時代が、今のアメリカに大きな影響を与えていることはまぎれもない事実です。

>>アメリカで台頭、ネオコンって?



(飛行機画像提供:O&Cギャラリー)
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