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洞爺湖サミット、その成果と評価(2ページ目)

7月7日から9日まで開催されたG-8サミットが終了しました。成果としては、3つの独立声明と、地球温暖化防止の長期的な目標共有が見られました。しかしその成果に対する各国メディアの評価は?

執筆者:鳥羽 賢

温室効果ガス削減目標、達成できる?

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今回のサミットで最も注目を集めたのが、首脳宣言に盛り込まれた温室効果ガスの削減目標でした。その目標によれば、2050年までに温室効果ガスの排出量を世界全体で半減、つまり50%削減するというものです。

しかし各国のメディアや専門家は、この実効性にかなり懐疑の目を向けています。まず、「2050年までに50%削減」という長期的な目標だけで、それを細分化したもの、つまり10年ごと、あるいは1年ごとなど細かい実行計画、短期的な目標が何も発表されていないことが指摘されています。

そしてこれだけ大掛かりな目標を達成するためには、世界の主要国全ての協力が必要となります。しかし、G8の参加国に中国、インド、メキシコ、ブラジル、南アフリカの新興5ヶ国を加えて開かれた温暖化防止の拡大会合があったにも関わらず、サミット後に中国とインドの2国は「この目標には合意できない」と述べています。ただし、時期は遅くなっても温暖化防止のために何らかの協力をするとは述べました。

今後の対応は主要経済国会合で協議

結局これといって具体的な行動計画がまとまらないまま終わった洞爺湖サミットですが、今後の温室効果ガス削減については、主要経済国会合(MEM)において協議されていく予定になっています。

主要経済国会合とは、2007年の9月に米ブッシュ大統領の提唱で設置された会合です。これは京都議定書に規定されていない、2013年以降の温室効果ガス削減について話し合うことを目的としています。参加国は、G-8の8ヶ国と、中国やインドなど排出量の多い国を合わせた16ヶ国です。これらの16ヶ国で、世界の温室効果ガス排出量の80%を占めていると言われます。

温室効果ガスの削減について、主要国が合意に達するまではまだ長い協議が必要になることでしょう。しかしどういった結果になるにしても、今回の洞爺湖サミットの話し合いが無駄になるようなことにはしないで欲しいものです。


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