本人のお気に入り写真を使った新千円札(出所:財務省) |
塩爺の思惑と実際の効果は
●新紙幣で、笑う会社、泣く会社新紙幣を発行することを決定した当時の塩川財務大臣、「新しいお札で世の中が明るくなればいい」と期待を寄せていましたが、果たしてそうでしょうか?
最大の恩恵を受けるのは、ATMや両替機などのメーカー、自販機メーカーでしょう。通常の年間需要の3~4倍の需要が見込まれています。そして、それらの頭脳である情報処理産業も大きな恩恵を受けることになります。
その一方で、大きな経済的負担が発生する業界もあります。
自販機の設置業者(飲料メーカー、JTなど)、鉄道を初めとした交通機関各社、各種金融機関などです。自販機の対応で1台あたり数万円、ATMなどでは1台あたり数十万円必要になるそうです。
景気対策というには、あまりにも偏った対策ではありませんか?
●新紙幣が景気を良くする?
政府の狙いは、偽造防止よりも本音は経済特需にあるでしょう。
この新紙幣を発行することを決めたのは2002年、景気対策も完全に行き詰まって、奥の手を持ち出すしかないのかと思うような、手の打ちようのない時期でもありました。
ATMのメーカーにとっては特需だが・・・ |
民間シンクタンクの調査では、紙幣切換の経済特需は1兆円近くから2兆円弱のゾーンが予測の大勢を占めています。市場の心理要因としては数字以上の影響があると思われますが、実際には増収になる企業とコストが負担になる企業とがあります。
費用がかかる企業も意外と多く、結局は5,000億円程度の経済効果ではないかと見ているところもあります。
また、仮に経済効果が1兆円だったとしても、GDP(国内総生産)の0.18%程度の押し上げです。これが、経済効果といえる規模なの?と思ってしまいます。
今年度の中間決算発表が相次いでいる時期ですが、さて、実際、今年度の業績にどの程度新紙幣特需が表れてきているのでしょうか。
それでもやはり、銀行から引き出したお札が新紙幣だったりすると、自慢げに見せびらかしたりしてしまうでしょうね。
【関連サイト】
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