ペーパーレスのメリット、デメリット
●メリットは?《投資家にとってのメリット》
券面保有に伴う紛失・盗難・偽造等のリスクを防げます。
現在、株式取引の決済は売買の約定日から3営業日後なのですが、それを短縮することを長年の検討課題としており、その環境が整うことになります。
決済までの期間が短いほど市場の使い勝手が良くなり、世界各国の株式市場との競争力が高まります。現在、アメリカやドイツでは、保管振替機関がほぼすべての株券を保管しています。決済までの期間は、アメリカ、イギリス、フランスでは日本と同じ売買の約定日から3営業日後ですが、ドイツなどでは売買の約定日から2営業日後で、アメリカも売買の約定日から1営業日後、つまり翌日決済を目指して準備を進めているのです。
日本経済の立て直しには海外から資本を呼び込むことも不可欠ですから、決済までの期間を短縮して、海外市場の流れに乗り遅れない方策も必要です。
《会社側にとってのメリット》
株券の発行・運搬時や保管などの管理コストを削減できます。
株式の併合・分割等に伴う手続きを簡素化できます。
現在、保管振替機構からの実質株主について、発行会社あての通知は年2回の決算期のみですが、電子化されれば必要な時に通知を受けられるようになります。
●デメリットは?
《投資家にとってのデメリット》
自分で株券を持っている(いわゆるタンス株券)ことはできなくなります。株券自体の存在がないのですから。
●タンス株券はどうなっちゃうの?
タンス株券はどうなる?これからどういう準備をするの? |
では、タンス株券はどうしたらよいのか、どうなるのか。
自分で保有しているタンス株券は、発行会社が選定した口座管理機関に開設する「特別口座」で管理されます。
この特別口座は流通を目的としたものではありません。そのため、株主の権利は確保されるものの、売却するには証券会社に開設した口座に株式を振り替える必要があります。
また、一斉移行までに株券の名義書換を行っていない場合には、発行会社が株主名簿から株券保有者を特定することができないので、場合によっては株主の権利を完全に喪失してしまう可能性があります。
一斉移行までに保管振替制度を利用している株主は、一斉移行後も特段の手続きを行うことなく株主の権利が自動的に確保され、預託している証券会社の口座で自由に売買することができます。
●ここの勘違いには注意
現在、タンス株券を特定口座に預け入れるには2004年12月が最終受付になるために、株券の保護預りの駆け込みが殺到しています。
このことと、株券の電子化は別の問題です。今年中に株券を証券会社に預けないと株券の価値がなくなってしまうのではないかと思ってしまっている方も見受けられます。今年中に急いで証券会社に株券を預ける必要がある方というのは、特定口座を利用して株式を売却したい方が株券を手元に持っている場合です。一般口座で売却をし、確定申告をするのであれば、あわてて今年中に預ける必要はありません。
ただし、ここでまたのんびりしていると、あっという間に5年なんて経ってしまいますので、今後のことを考えて、株券は証券会社に預け、証券保管振替制度による実質株主を利用しておくのが安心でしょう。
【関連サイト】「新証券税制と確定申告」(All About“資産運用のノウハウ”ガイドサイト)「平成14年証券税制改正その3」(All About“暮らしの税金”ガイドサイト)