文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
今、「株券がなくなると聞いたのですが、本当ですか?」という問い合わせが非常に多くなっています。証券会社でも、株券の電子化(ペーパーレス化、株券不発行制度)についてのパンフレットを配布しています。これは、現在の証券保管振替制度との違いはどういうところなのでしょう? また、株主にとって何がメリットなのでしょうか?逆にデメリットはないのでしょうか?
新聞
株券がなくなるって?今までも株券って見たことないけどどうなってるの?


<INDEX>
現在の株券はどうなっている?(1P目)
新しい法律ができて、株券はこうなる(1P目)
ペーパーレスのメリット、デメリット(2P目)

現在の株券はどうなっている?

まず、現在の株式取引について確認をします。

株を買ったら、お金と引き換えに株券を受け取っているのですが、一般的には投資家の手元にまでその株券を渡すことはめったになく、証券会社で保護預りをしているのが通常です。さらに、その株券は証券会社の金庫に入っているのかといえば、必ずしもそうではなく、「証券保管振替機構」というところに再預託されているケースが増えてきています。この証券保管振替機構に預けられている株券は2004年7月末現在で65.6%になっています。

新しい法律ができて、株券はこうなる

2004年6月に「社債、株式等の振替に関する法律」(いわゆる「振替法」)が公布され、商法や関連法も改正されました。これにより「株券の電子化(ペーパーレス化、株券不発行制度)」が具体的に動き出しました。

2009年(平成21年)6月までの5年以内に公開会社の株式が、一律に無券面化(ペーパーレス化)されます。印刷された株券、これを券面と呼んでいますが、これがなくなり、株券の受け渡しも行われなくなります。

株券を発行するか否かは株式会社の任意となっていますが、証券取引所に上場している株式会社については、2009年6月までに一斉かつ強制的に「株券の電子化(ペーパーレス化、株券不発行制度)」に移行することとなりました。

だからといって、株式会社という制度がなくなったり、株式を所有している事実がなくなってしまうわけではありませんので、ご安心を。
一斉移行後、株券そのものの価値はなくなりますが、株主の権利(配当を受ける権利など)は、新しい振替制度における振替口座簿に記載されることで、従来と同様に確保されます。

また、株式以外にも転換社債型新株予約権付社債(いわゆるCB)などの有価証券についてもペーパーレス化が可能になります。

●具体的にはどんなしくみなの?
株価ボード
株式売買は取引しやすくなる?

従来の保管振替制度では、保管振替機構が名目上の株主で、その株を保有している投資家は実質株主として名簿に記載されています。

新しい振替制度では、株主の管理は「株主名簿」上に一元化されます。

また株式の譲渡・質入れ・新株発行などでその株式に係る権利が移転する場合は、口座振替・残高の増減で効力を生ずることになります。

●その目的は?

株券を発行したり、流通の管理や保管をしたりするには、コストがかかります。株券という券面がなくなり、データ上でのやり取りになるとこのコストが削減できます。すなわち、株式取引の決済を合理化・迅速化することを目指すものです。

このような株券の電子化、そのメリットやデメリットはどこにあるのでしょうか?次のページでメリット・デメリット、今後のタンス株券について見て行きましょう。