何が森を消滅させているのか?
森林破壊についての石弘之氏の著書。 |
乱開発
日本でもバブル時代などには乱開発が問題にされましたが、多くの途上国では乱開発は今でも大規模に続いています。特に途上国は、「早く経済的に発展して、先進国に追いつきたい」と思っている国が多いのです。そのために、環境への配慮を無視して大規模な開発計画を進めています。開発プロジェクトでは、これまで森林があった場所を、道路や農地など産業用の土地に転換します。しかしそのためには、もちろん森林を大規模に伐採することになります。森林が伐採されると、実際に伐採された場所だけではなく、その周辺部にも悪影響を及ぼします。それが繰り返されて、森林が消失していくのです。
焼畑農業
焼畑農業は昔は日本でも行われていましたが、今ではほとんど使われていない手法です。その一方で、海外では東南アジアを中心にして今でも大規模に行われています。焼畑農業というのは、もともとは農地として適していないやせた土地でも、森林を燃やしてその灰を肥料として作物を育てる手法の農業です。一度焼いた森林の場所では、農作物を育てられるのは3~4年と言われています。一方で、焼いた森林が再生するために10~20年かかります。そこで森林を焼きすぎてしまわないように、1つの場所で焼畑農業を3~4年やったら、その場所は森林が再生するまで使わず、次の3~4年は別の場所で行う……というように、上手くローテーションして行くことが大事なのです。
ところが、最近では多くの国でローテーションを無視して過剰な焼畑農業が行われています。そのために、森林がどんどん焼かれて消えているのです。
その他の原因
それ以外にも、森林が破壊されている原因は多くあります。例えば酸性雨です。工場や自動車から排出される硫黄化合物や窒素酸化物が、大気中で硝酸や硫酸に変わり、それが核になって降ってくる雨が酸性雨です。酸性の雨に打たれると、森は枯れてしまいます。そして、森林火災も森林を一気に破壊してしまいます。森林火災が起きる原因は、焼畑農業をするためにつけた火が、予定よりも遥かに大規模に燃え広がってしまった場合。あるいはエルニーニョやラニーニャなど異常気象による乾燥によって起こった場合、などがあります。
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