2ページ目 【1990年代に入り一気に深刻化した核拡散問題】
3ページ目 【「NPT問題」の意外な盲点】
【1990年代に入り一気に深刻化した核拡散問題】
冷戦が終わり、「核の傘」がなくなった1990年代、独自の核保有政策をとる国が
前ページでも指摘したように、アメリカもロシアも人類を何回も全滅できる核兵器を持っていた現状では、この2国の核兵器の量があまりに多すぎて、「使われる」という現実感が薄かったことは事実でしょう。
また、世界各国も米ソの枠組みの中にあり、かれらの「核の傘」に入ることで核兵器の開発が不要だったという事情もありました。
しかし冷戦が終わってから、NPT保有国以外の国の核兵器開発問題が浮上してきます。アメリカという超大国と、その他の国々というふうになってしまった世界の新秩序。紛争を抱えている国が、自衛のために核兵器を開発しなければ、という動きになってしまったのです。
また、>旧ソ連の核兵器や開発技術が、混乱の中で拡散してしまうのではないかという懸念
そうしたなかまず、イラクの核兵器開発問題は湾岸戦争直後から浮上。今回のイラク危機につながっています。
インドとパキスタンの核兵器開発競争も問題です。兵器化はされていないとみられていますが、緊張の続く両国だけに、その動向が注目されます。イスラエルも独自に核兵器をもっているといわれています。
ただ、南アフリカはアパルトヘイト(人種隔離政策)をやめて国際的孤立から脱出したのを機に、1992年に核兵器を廃棄したりして、成果が上がっているところもあります。
この南アフリカのケースをモデルに、インドやパキスタン、イスラエルなどの核兵器も廃棄の方向にもっていきたいところです。
さて、北朝鮮については実は1980年代から、疑惑が浮上してきています。それはアメリカの偵察衛星によるもので、さまざまな施設が、「核兵器開発施設」ではないか、と指摘されていますが、北朝鮮は認めていません。実際プルトニウムを取り出していることは認めているので、その疑いは濃厚となっていました。