では、以上の3機能を持つ貨幣とは,具体的に何を指すのでしょうか? 3機能を持っているものは、まず現金です。現金は、そのままで、いろいろな物と交換できます。現金が貨幣であることには疑いがありません。ただし、経済では、3機能をもつ貨幣は現金だけではなく預金も貨幣とします。なぜなら、普通預金は、キャッシュカードですぐに現金がおろせますから、便利です。また、クレジットカードの買い物は,支払いは普通預金の引き落としですから,結局,普通預金で買い物を行っているのと同じだからです。
実は、預金をどこまでを貨幣と認めるかによって、貨幣はM1、M2、M2+CD、M3、M3+CDの5つに分かれていくのですが、その話は、専門的なのでやめておきます。
よく用いられるM2+CDという範囲だと、2002年8月の貨幣残高は約650兆円で、内現金が60兆円、残り600兆円弱が預金です。
ということで、マネーは貨幣ですから、キャッシュ(現金)だけではなく預金も含むという違いがあるわけです。
★ キーワード
貨幣
交換媒介機能、価値尺度機能、価値保蔵機能の3機能をもつもの。具体的には、貨幣=現金+預金。
貨幣経済
貨幣を交換の仲介とする経済。貨幣を用いることにより、取引は行いやすくなり、経済は活発になります。貨幣を用いない経済は物々交換経済となります。
交換仲介機能
自分の持っているものを売って貨幣をもらい、その貨幣で、好きなときに好きな物を買うこと。たとえば、会社員であれば、労働サービスを提供し、会社から貨幣をもらい、その
貨幣で好きなものを買います。これは、労働を提供して好きなものを買うのですが,貨幣を仲介しています。これを、貨幣の仲介機能といいます。
価値尺度機能
日本国内であれば、物の価格は、日本の貨幣の単位である「円」で表示されます。ですから、私たちは、物の価格をすぐに比較できるのです。もし、貨幣がない物々交換経済だったら、カローラ1台は豚5匹、サニ-1台はニワトリ50羽などと書いてあり、いったいどっちが高いのか比べるのも大変です。このように、ものの価値は、貨幣の単位である円で表示されることを、貨幣の価値尺度機能といいます。
価値保蔵機能
貨幣は、価値として貯めておくことが出来るという機能です。これは、お金が余ったとき、貨幣として価値を貯めておくことが出来るということです。
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