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銀行の自己資本比率とは何か

今回は、銀行の経営安全度を示す指標として有名な自己資本比率の説明です。本来は、財務分析の専門用語ですが、不良債権処理のニュースのときに頻繁に使われる言葉です。

執筆者:石川 秀樹


★ポイント★
1.自己資本比率=自己資本/総資産
2.自己資本比率が高ければ安全、低ければ安全性は低いという目安になる。
3.そこで、国際ルールにより、自己資本比率8%以上の銀行しか国際業務を行うことはできず、国内ルールにより、国内業務も4%の自己資本比率がないとできない。



自己資本比率って?

銀行の経営問題で頻繁に出てくる言葉が「自己資本比率」と「貸倒れ引当金」。今回は、「自己資本比率」についてお話しましょう。「貸倒れ引当金」の説明は、次回をご期待下さい。

まず、銀行業に限らず、事業を行うためにはお金が必要です。このお金をどこから調達したかによって「自己資本」と「他人資本」に分かれます。自己資本とは、文字通り、自分のお金で、返済する必要のないお金です。具体的には、株式発行時に株主から得たお金や過去の利益の蓄積などです。

これに対し、他人資本とは他人から借りたお金で返済義務のあるものです。具体的には、預金者からの預金です。当然のことですが、預金は預金者がおろしたいといったときには、返済しなくてはなりません。

このように、調達した資金には、返済義務のない自己資本と、他人に返済する義務のある他人資本があるのです。もちろん、銀行はお金を貸して金利を得ることにより儲けていますので、調達したお金(=自己資本+他人資本)を貸し出します。そして、この貸し出したお金を貸付金あるいは貸出金といいます。貸付金があれば毎年利子が入り、期限がくれば現金を返してもらえるので、銀行の資産と考えることができます。つまり銀行は調達したお金(=自己資本+他人資本)を貸付金という資産で運用していると考えることができます。

そして、「自己資本比率」とは、自己資本を総資産で割ったものをいうのです。つまり、
己資本比率=自己資本/総資産

なお、「総資産」とは銀行の保有する全資産なのですが、具体的には調達した資金(=自己資本と他人資本)を貸出したお金、つまり、貸付金のことです。

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