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地震がきても怖くない免震・制震マンション 超高層は大地震のとき大丈夫?(3ページ目)

このごろのタワーマンションは免震・制震つきのケースが増えてきました。それらはどういう仕組みになっているのでしょう。そもそもタワーマンションは大地震のときに倒れたりしないのでしょうか。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド


免震は揺れの強さを1/2~1/5に小さくする

3つの構造の中で、地震のときの建物のダメージが最も小さいのは免震構造です。耐震構造に比べ、揺れの強さを2分の1~5分の1に小さくできるといいます。免震というと「地震がきても揺れなくなる」というイメージがあるかもしれませんが、揺れがなくなるわけではまりません。むしろ揺れる幅は大きくなりますが、揺れる速さがゆっくりになるので建物や人に危害が及びにくくなるのです。ちょうど船に揺られているような感じになります。

制震構造は免震ほど揺れの強さを小さくする効果はありませんが、60mを超える超高層の建物でも効果を発揮しやすい点が特徴です。逆に言うと、免震構造は中低層の建物では効果が大きいのですが、タワー型の超高層では「効き」がよくないと言います。


超高層マンションは地震の揺れが小さい

超高層マンションなら揺れは小さい
超高層マンションなら揺れは小さい
なぜ超高層で免震が効かないのか、理由は主に二つ挙げられます。まず一つは、超高層はもともと地震の揺れがゆっくりしているので、免震装置を付けても劇的な効果が得られないのです。15階程度までの中低層の建物は上の階ほど揺れが強いのですが、超高層は柳の木がしなるような揺れ方をするので逆に下の階のほうが揺れは強くなります。ただ、免震装置を付けると高層階でもいっそうゆっくり揺れるようになるので、安心度が高まるメリットがあります。

もう一つの理由は、タワー状の建物に積層ゴムなどの免震装置を付けると、地震のときにゴムが強く引っ張られ、最悪の場合は切断されてしまう可能性があるためです。平たい建物より細長い建物のほうが倒れやすいという、ごく単純な仕組みが原因です。建物の短辺に対する高さの比を「搭状比」といいますが、この搭状比が4を超える細長い建物は、一般的に免震の効果が出にくいと言われています。ただ、最近では技術の進展により、塔状比の高いタワーマンションにも設置できる免震装置が開発されてきました。


長い目で見れば免震・制震マンションはオトク!?

免震構造の普及の課題としてコストが挙げられます。制震構造は耐震構造と大差はありませんが、一般的な中低層マンションの場合、免震構造は耐震構造より建築費が5%ほど高くなるといいます。ただ、免震マンションでは建物の柱や梁を大きくしないで済むので、階数が高いほど耐震構造との差は縮まり、超高層マンションでは逆転して建築費が安くなるケースもあるそうです。

それに、免震構造や制震構造では大地震のときでも建物の損傷が小さくなるので、補修費用が安くなる点が大きなメリットです。最近のマンションは寿命が長くなり、60年以上は住めると言われているので、それだけ大地震に遭遇する可能性も高いのです。安心して住めるだけでなく、長い目で見て割安感のある免震マンションや制震マンションが、これから増えることが期待されます。
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