エイズ(後天性免疫不全症候群)は1981年の最初の発見以来、世界中で爆発的な勢いで増加していることは、前回の(1)でお話しました。今回は現在主に行われている、エイズの治療法について見てみましょう。

現在の主流である抗レトロウイルス療法

ドル札
途上国に抗レトロウイルス剤を届けるには、多額の資金が必要だ
現在エイズに対する治療法はどうなっているのでしょうか?今のところ広く使われている治療法として、抗レトロウイルス療法というものがあります。エイズウイルスであるHIVは、レトロウイルスと呼ばれるタイプのウイルスです。そのレトロウイルスを退治する抗レトロウイルス剤を使ってエイズを治療するのが、抗レトロウイルス療法なのです。抗レトロウイルス剤は、日本では一般に抗HIV薬とも呼ばれています。

抗レトロウイルス療法といえでも、エイズを完全に治療するものではありません。しかし、抗レトロウイルス剤を飲むことによって、エイズの発病を遅らせることができるという効果があります。HIVに感染しても、実際の発病を防止できるのです。HIVそのものを死滅させることはできないのですが、その増殖を抑えることになります。

完全とは言えないまでも一定のエイズ治療効果がある抗レトロウイルス剤ですが、問題はとても高価なことです。もし日本などの先進国で誰かがHIVに感染して、抗レトロウイルス剤を服用する必要があるとすると、1年間で150万円もかかると言われています。もちろん病気として認められれば、日本では保険が適用できますので3割で済みます。しかし薬代以外にも検査代などが高額になるので、エイズの治療は保険があってもかなり高くつきます。

この抗レトロウイルス療法は大変有効で、妊娠中の女性が受けることによって、母子感染の率が半分になるとすら言われています。そういった意味で、この治療を広めていくことが、エイズに対抗する大きなステップになるでしょう。

途上国にも抗レトロウイルス療法を-しかし思わぬ事態が?!

WHO(世界保健機構)は2003年に、「2005年の終わりまでに世界の300万人のエイズ患者に抗レトロウイルス療法を与える」という目標を掲げました。残念ながら、この目標は達成できずに、2005年末の達成数は130万人で終わりました。しかし、2001年にはまだ24万人しか抗レトロウイルス療法を受けていなかったことを考えると、かなりの進歩と言えるでしょう。

しかしながらこの治療法に思わぬ異変が起こっています。というのは、抗レトロウイルス剤は高価で、途上国の人間にとってはなかなか自費で購入するのが難しいことがその発端になっています。

抗レトロウイルス剤は基本的に特許で保護されているものばかりですが、特許は世界中で万能なものではありません。ブラジルやインドなどは、人命を救うためなら、特許が効力を持たないような法律になっているのです。そのため、特許を持っていない企業がブラジルやインドで類似品を製造し、途上国などに安価で流すようになったのです。

そうなると正規品を製造している製薬メーカーは、どう思うでしょうか?医薬品の開発・製造には、何百億円ものお金がかかると言われています。そしてやっと開発して販売できるようになったら、何年もかけてそのコストを回収するのです。ところがそこで安い類似品を作られてしまったら、コスト回収が難しくなってしまいます。そうなったら、それ以上エイズ関連薬の開発をしないようになってしまうかもしれません。

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