(目次)
1ページ 【オリンピックは儲かるの?】

2ページ 【オリンピックの翌年は景気が悪くなるというジンクスは本当か?】


 【オリンピックは儲かるの?】

ロサンゼルスが転換点

1976年にカナダで開催されたモントリオール・オリンピックは大幅な赤字に苦しみ、市の税金で穴埋めをしなくてはならなくなりました。これをきっかけに、財政負担を懸念した各都市はオリンピック開催に後ろ向きとなり、1984年第23回大会の候補地に立候補したのは、なんと、ロサンゼルスだけでした。しかも、ロサンゼルス市は、一切財政支援はしないとの条件をつけました。

こうなると、オリンピック組織委員会は、自分達で資金を調達しなくてはなりません。そこで、大胆な商業主義を取り入れ、テレビ放映権をなるべく高く売れるようにしたり、企業にスポンサーになってもらい資金を拠出してもらったり、五輪グッズで稼いだり、とあの手この手で頑張りました。

その結果、オリンピックは、よりテレビ栄えのする華やかな「スポーツ・ショー」という雰囲気になっていきました。当初懸念されたお金の方も、終わってみれば2億1500万ドル(1$=135円で換算すると290億円)の黒字と大成功でした。

これ以降、オリンピックは「財政的お荷物」から、「儲かる」イベントと認識されるようになり、立候補する都市が増加します。その後の、ソウル、バルセロナ、アトランタ、シドニーと商業路線は拡大し、オリンピックの財政基盤は強固なものとなっていきました。

その商業路線を進めてきたのが、サマランチ元国際オリンピック委員会会長です。スペインの実業家であるサマランチ氏は、財政的に危機的状態にあったオリンピックを、大胆な商業主義の導入によって救ったといえるでしょう。

しかし、商業化の過程でプロの参加を容認し、オリンピックの理念であるアマチュア精神に反するのではないか、との指摘もあります。また、多額の金銭が動くようになり、オリンピック招致スキャンダルに代表されるように、オリンピック委員会の金権体質も批判されています。

冬季オリンピックは儲からない?

夏季オリンピックに比べ、冬季オリンピックはあまり儲からないといわれています。事実、1998年の長野オリンピックでは当初赤字が見込まれ、赤字の場合には、長野県と長野市で折半する約束になっていました。ところが、長野五輪は、大会運営費約1093億円に対し、最終的に45億円の黒字と嬉しい誤算となりました。

 本当に儲かっているの??
さて、今まで、「黒字」とか「赤字」といってきましたが,これは、大会運営費に対して収入が多いか少ないかを比較しています。ですから、オリンピックのときに造ったスタジアムや道路の費用までもが回収されるわけではありません。

たとえば、長野オリンピックでは、大会運営費は1093億円ですが、施設整備費1300億円,道路2000億円、新幹線4500億円など合計1兆5000億円程度の資金を投入しています。ですから、赤字、黒字と騒いでも、大会運営費の1093億円を回収できるかどうかというだけなのです。

本当に儲かったかどうかを考える際には、巨額の資金で造られたスタジアムや道路などがその後も有効に利用されるかどうかを充分に検討しなくてはなりません。