【バチカン市国の国民って?】
バチカン市国の国民は法王と法王のもとで働く聖職者、それに(なぜか)スイス人の衛兵たちからなっています。バチカン生まれの国民はいません。すべて世界各国から集まり、役職を離れればもとの国籍に戻ります。その数1000人くらい。
法王は枢機卿(カーディナル)とよばれる高い位の聖職者らによる秘密選挙会議(コンクラーベ)によって選ばれます。即位した法王は死ぬまで法王であり続けます。現在の法王はヨハネス・パウルス2世(ふつう新聞などでは「ヨハネ・パウロ2世」と書きますが)です。
【バチカンの今と将来】
バチカン市国は、戦後になって世界各国との交流をさかんにしています。日本などキリスト教があまり盛んでない国にも法王が訪問したり、あるいはカトリックと対立する宗派・宗教がさかんな国にも訪問し、和解につとめたりしています。
特に今の法王ヨハネス・パウルス2世は80歳を超えた今も積極的に各国を訪問しています。最近ではイスラム教国のシリアを訪問、イスラム教徒との和解を訴えました。
ヨハネス・パウルス2世はまた平和問題にも熱心で、数々の発言をしています。特に昨年、今年と相次いで中東を訪問していますが、これは難航する中東和平に対するアピールと思われています。
ところでヨハネス・パウルス2世はポーランド出身。イタリア人以外の法王は約500年ぶり、西ヨーロッパ以外の法王は史上初のことでした。そして次の法王はヨーロッパ人以外に開放されるかも知れません。
今年2月、法王は枢機卿を44人任命しましたが、これによりヨーロッパ人枢機卿は半数以下となり、かわってラテンアメリカ人枢機卿が最大勢力となっています。次期法王がヨーロッパ以外の地域から選ばれる可能性はかなり高まっているのです。
はたして次の法王はどこの地域出身の人になるのか。そうしたとき、バチカンはどんな国になっていくのでしょうか。
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