特例法に基づく、「赤字国債」の発行
特例法で発行される赤字国債
国の財政の赤字部分を補てんするために発行されるのが、赤字国債(2010年度の当初の発行予定額は37兆9,500億円)です。
赤字国債は、1965年の深刻な不況時に税収の落ち込みをカバーするために、あくまでも「特例」として発行されたのが始まりです。しかし1975年の石油ショック時に再び発行されると、その後は、バブル景気の影響で税収が多かった時期をのぞいて毎年発行されています。
赤字国債は、建設国債がまかなう公共事業・出資・貸付以外の目的、たとえば防衛費や社会保障費などに充てられます。
……「あれっ?財政法に違反しているのでは?」と思いますよね。
赤字国債は、毎年度、その年度だけに適用される「特例に関する法律」を作り、それに基づいて発行されます。平成22年度発行の赤字国債については、「平成22年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律(平成22年3月31日 法律第7号)」が制定されました。
法律で発行が禁止されているのに、毎年特例の法律を作って発行するということがずっと行われているのです。
「新規財源債」は44兆3030億円
2010年度の当初の国債発行予定額は、建設国債と赤字国債を合わせた「新規財源債」が44兆3030億円です。このほか、地方自治体や独立行政法人などに資金を調達するために発行される財投債が15兆5,000億円です。
日本国債はほとんどが日本国内で買われているので、ギリシャのようにはならないといわれますが、そうだとしても、税収より国債発行額が多く、巨額の借金を抱えているという状況がよろしくないのは確かなことです。民主党政権には、借金をこれ以上大きくして次の世代に残さないように、経済対策(景気回復による税収増)と、むだの削減の大胆な実行をお願いしたいものです。わたしたち国民も、目先のバラマキに飛びつかないこと、増税などの痛みもある程度は覚悟することなども必要だと思います。