注文住宅/家づくりの流れ・基礎知識

空き巣撃退! 事前に知りたい防犯の知識(2ページ目)

住宅の防犯に関心を寄せる人が増えていますが、どんな住宅が狙われているのでしょうか。空き巣の調査結果から、よく見られる侵入方法と、それに対する防犯対策について考えてみましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

窓の防犯対策 ひとつ目はガラスの強化

前ページで見てきたように、ガラス破りが多いということは、窓の防犯性を高めるのが重要だとわかります。窓についての対策で主なものは次の2つです。

1. 破られにくいガラスにすること。
2. サッシの鍵を複数にすること。

まず、破られにくいガラスについて説明します。ガラスは、一般ガラスと機能ガラスとに大別できます。私たちがよく見かける一般的な透明ガラスや網入りガラスは一般ガラスと言われ、防犯性能はほとんど期待できません。網入りガラスは網が入っているので強いように見えますが、火災時の延焼、類焼を防ぐ機能はあるものの、破壊に強いわけではないのです。

機能ガラスは、紫外線をカットしたり、割れにくいなど、いろいろな機能を持ったガラスの総称です。その機能ガラスの中で防犯性能に優れているのは、「防犯ガラス」や「防犯合わせガラス」。このガラスは、2枚のガラスの間に特殊な中間膜を挟むことで、衝撃に強く、ひび割れても貫通しにくくしたものです。特に「防犯合わせガラス」は、貫通しにくいうえに、たとえ割れても破片が粒状になるので、割れたガラスでケガをするのを防ぎます。

窓のガラスを「防犯ガラス」や「防犯合わせガラス」にしておけば、泥棒が侵入のためにドライバーなどでガラスを破ろうとしても、中間膜のおかげでなかなか貫通しないため、時間をかせぐことができますね。

窓の防犯対策 ふたつ目はサッシの鍵を複数に

ふたつ目は、サッシの鍵を複数にすること。

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サッシの枠の床から数センチの位置に見えるグレーの部分が補助錠。指で軽く触れると突起が飛び出すようになっている

最近の住宅のサッシには、クレセント錠のほかに、サッシの下部などに補助錠が付いているものが一般的になってきました。サッシの枠に付いている小さな突起を飛び出させることで、クレセント錠を外しても窓の開閉ができないようになっています。突起を押してフラットにすれば窓を開閉できます。簡単なことなので、外出時や就寝時だけでも掛けておけば、安心感は高くなりますね。これから新築する人は、こういったガラスやサッシをぜひ選んでほしいものです。また、一戸建ての場合は、面格子やシャッターを窓に設置しておくのも有効でしょう。

こういったガラスやサッシは既存の住宅の窓に取り入れるのは難しいのですが、補助錠は、ホームセンターなどで後付けできるものを売っています。実は、わが家も泥棒に入られた後、この補助錠を取り付けています。サッシに付いている補助錠に比べると少々面倒ではありますが、安全性には代えられません。

玄関ドアはワンドアツーロックに

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玄関ドアはワンドアツーロックが当たり前に アルミ玄関ドア「リベール3 C1型」写真/新日軽

また、玄関ドアは、ワンドアツーロックが一般的になっています。ツーロックといっても、キーが2ついるのではなく、同じキーで2箇所の鍵穴に差し込むことができるので、面倒なことはありません。でも、泥棒からすれば、ピッキングするにも、サムターン回しをするにも、2箇所ともクリアしなければなりませんから、それだけハードルが高くなるわけです。

また、サムターン回しがしにくい材質や形状になっている玄関ドアや、サムターンが取り外せる製品も見かけるようになってきました。こういった玄関ドアなら、万が一、不審者が侵入を試みても、かなり時間がかせげるので、侵入をあきらめることになる可能性がありそうですね。


CPマークを参考に防犯性の高い製品を選ぼう

玄関ドア、窓(サッシ、ガラス)、雨戸、面格子、シャッターなどを選ぶ際は、「CPマーク」を参考に選ぶのもよい方法です。CPマークとは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が定める防犯の基準をクリアしたものに付けられるマークのこと。実際に使用される状態のもと、警察職員やメーカーの担当者が、空き巣などの侵入方法としてよく見られる手口で性能実験をします。性能実験の基準は「5分間侵入を防ぐことができるかどうか」というものです。この基準にクリアしたものだけに、CPマークの表示が許されます。製品やカタログにも記載されているので、このマークを頼りに選ぶとよいでしょう。

ここで紹介した防犯対策のほかにも、人感センサー付きの屋外照明もあります。さらに、タイマーで照明器具を点灯したり、シャッターを開閉して、留守宅を人がいるように見せる仕掛けのほか、セキュリティサービスを依頼するという方法もあります。防犯性能をどこまで追求するかはその人の考え方にもよりますし、ここまで施策すれば万全というラインもありません。

ただ、侵入者が隠れられるような高い塀で家を囲んだり、玄関や大きな開口部が通行人から死角になるようなプランをできるだけ避けるようにするなど、家の全体のプランニングで侵入されにくい家にするという方法もあるでしょう。また、泥棒の心理として、家の周囲に使わなくなったプランターが放置されていたり、雑草が伸び放題になっているお宅より、手入れの行き届いているお宅を敬遠するものではないでしょうか。そういった面から考えても、わが家に関心を持ち、愛情を注ぎましょう。

【関連リンク】
警視庁 平成上半期(1月~6月)の傾向

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