インテリアコーディネート/海外のインテリアコーディネート実例

決め手はニュークラシック!マルニが大変身(2ページ目)

クラシックムードたっぷりのホワイト空間のショールームに展示されているニュークラシック家具。深澤直人が手がけた「TRADITIONAL SERIES 」と「HIROSHIMA」を紹介します。

菅野 民子

執筆者:菅野 民子

インテリアスタイル実例ガイド

世界の定番を目指す「HIROSHIMA」シリーズ

シンプルでもどこか工芸的な手作りの温もりが感じられる「HIROSHIMA」シリーズ

白い空間に置かれた「HIROSHIMA」(ヒロシマ)シリーズは、日本の家具ではあまり見かけない凛とした空気が流れていました。デザイナーの深澤直人氏は「長く使っていくうちに生活の味がしみ込むようなものがいい。」「北欧の白木のそれのように今までに世界の定番となってきた木の椅子にはデザインというよりは工芸的な手作りのぬくもりがあります。日本の木製製品にも同じような工芸的な要素はありますが、特に檜を中心とした無塗装のものには、精緻で、汚れを許さない神格化された清潔感があります。人間的な温かみがありながら精緻で清浄なイメージというのがこの椅子とテーブルの目指すものでした。」と語っています。


 
ゆったりとした座はダイニングチェアとしても、ラウンジチェアとしても使えます。背からアームにかけての緩やかなカーブがとっても美しい椅子になっています。ナチュラルホワイト塗装のビーチ材、マットブラック塗装のビーチ材、ナチュラルホワイト塗装のオーク材から選択できます。座面は板張りと布張りがあり、布の素材はフランネルの一種で、優しい手触りのミックスフラノを採用しています。カラーはアイボリー、ブラウン、グレーの3色から選ぶことができ、張り座部分は簡単に取り外せて、ドライクリーニングや買い替えにも対応するとのことです。


 
無塗装に近い自然な木肌がなんともやさしいダイニングテーブルとチェアです。このような材質の善し悪しや複雑な技がそのまま商品の価値につながるものを、工業製品として売り出すことに驚きます。木の性質を見極める技、又、座るために必要な堅固な構造の仕組みなど、それらをクリアするためには経験と職人の技に自信がなければ、実現しないことだからです。


歴史を記憶するショールーム

 
ショールームの内部は写真のように装飾された柱や天井を囲む周り縁、マントルピース、ドアにいたるまで歴史が感じられます。その歴史のある室内を真っ白にすることで、現代空間とクラシック空間の融合を図っています。それは、歴史に育まれた木工技術を、今や世界中をときめかす旬のデザイナーに託すことで、家具メーカーとして生き残りを謀っています。

今や日本の家具メーカーは、売れるための廉価な家具を作ることで、この未曾有の経済危機を乗り越えようとしています。マルニ木工の若い経営者は工場の職人と一体になり、売れるためだけを目的とした家具ではなく、ほんとうに良質な家具を日本に普及したいと孤軍奮闘しています。良心的で革新的な家具を受け止めるインテリア土壌が日本に育つことを心から願っています。




<DATA>今回の素敵空間
「株式会社マルニ木工」東京ショールーム
・住所:東京都中央区東日本橋3-6-13 
・Tel 03-3667-4021 Fax 03-3663-0789
・ショールームは、大阪、広島、福岡にもあります。



(C) 2008 December Copy & Photo by kanno
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