晴れた日はせっせと畑を耕し、雨が降ったら読書三昧。誰もが思い描きやすい田舎暮らしのイメージですね。しかし、これではステレオタイプでちょっと寂しい。田舎の暮らしにダンディズムを持ち込んでみる。なにも、ちょい不良(ワル)オヤジを気取るつもりではありません。セカンドライフだからこそ、なんの役にも立たないことに熱中する。ゆったりと過ぎていく田舎時間こそを楽しもうという提案です。

我らの世代を席巻したファッションVAN創業者、石津謙介氏曰く「ダンディズムとは独りよがりとやせ我慢のことである」と。他人が見たらどうでもいいことだったり、自分だけのためにちょっとだけ一点豪華主義を持ち込んだりと、まぁトリビアなこだわりですね。自分が選んだ好きな地域に住み、好きなファッションを選び、好きなものを食べる。これぞ田舎暮らしの理想のスタイルじゃないでしょうか。

本シリーズは、自ら信じる道を行くならば、百万人とて我行かんの男性専科。淑女の皆様、どうぞお見逃しを。

さて、今回は帽子にこだわりますぞ。

かって日本人は帽子フリークだった

日本に洋風帽子が伝わったのは織田信長の時代で、キリシタンの宣教師が被ってきたのが最初らしい。本格的に帽子をかぶるようになったのは、明治時代。

明治初年、断髪令が施行された当時、ほとんどの帽子は輸入品でした。国産ものが登場したのは、明治11年頃から生産が始まりその後、著しい発達をみたと言われています。

その後、商人のシンボルとして定着する「鳥打帽(ハンチング)」、次に紳士の間で「山高帽」が大流行し、明治45年頃には「カンカン帽」を中心に誰もが帽子を被るようになり、空前の帽子ブームがスタートします。「紳士は帽子を着用する」、という西洋の文化は瞬く間に日本を席巻し、外出の際に帽子を被るというのが当たり前になります。最盛期には日本男性の何と!95%が帽子を愛用していたとか。

今の時代はハットレス化が進み、帽子を被る人が少なくなってきました。わざわざ帽子で職業を明確にする必要もない、フォーマルよりカジュアルなファッションがラクチン、今さら帽子で「私は紳士である」なんて時代遅れ、まして田舎暮らしで帽子なんて……

しかし、田舎で麦わら帽子ではあまりにも芸がない。「田舎で暮らす」というライフスタイルをせっかく選んだんだから、やっぱり帽子にもこだわってみたいもの。女房と水入らずの旅行の時、仲間たちと焚き火を囲む時、久しぶりに都会へ出かける時。帽子を着こなせば、もっと田舎暮らしが楽しくなります。

シンプル・イズ・ベストのビーニーキャップ(ワッチキャップ)

ビーニー(beanie)とは、丸型の縁なしの帽子のこと。海軍兵士が見張りをする際に、寒さから頭を守るために被ったワッチキャップ。大半がシンプルなニット帽で、M字型オデコ(もしくは、なりつつある)のオジサン達のための最強のファッションアイテムです。

往年の深夜番組11PMに出ていた小説家で翻訳家の田中小実昌、愛称「コミさん」。サンダル履きで、頭にぴったりと張りつくような半球形のニットキャップを愛用してました。飄々とした独特の醒めた味わいがチャーミングでした。

ジャン・レノがストイックな殺し屋を演じた「レオン」。ストーリー展開も演出も最高でしたが、見逃せないのがサングラスとニットキャップ、プラス寡黙というジャン・レノのファッション。今では、中高年男性にとって、一種のリスペクトの対象となってしまったのではないでしょうか。

コミさんを狙うか、レオンで決めるか。そこはあなたの、顔付きと体型と度胸次第。最近では,ビーニーキャップを夏場でも室内でも被っているのを見かけます。帽子のダンディズムの入門編と言えますね。

◆レオンの着こなしを見てみる>>MOVIEクラブ

次は、あの松田優作の!