家族が集うプレイルームを頂点に、
スパイラル状に展開する一連なりの住空間



住宅プロデューサーといえば、先に山本卓男さんを紹介しましたが、やはり建築プロデューサーを名乗り、家づくりのプロデュースを業務として行っているのが建築プロデュース研究所の大内昌弘さんです。同研究所の設立は95年ですが、大内さん自身は88年頃からプロデュース業を営んできたそうで、その実績もかなりの数にのぼります。
そんな大内さんが、神奈川県の磯子台に矢板久明さん(矢板久明建築設計事務所)と組んで建てたのが青年実業家である林さんのお宅です。それは、はるかに横浜港を望む高台の住宅地の一角、絶好のロケーションといえる場所にありました。

外観はどうということもない、ふつうのRC造の家に見えたのですが、中を見て驚いたのなんの。そこには緻密に計算しつくされた、寸分の隙もない空間の連続がありました。

 

林邸は、土地の形と高低に合わせて、スパイラル状に上がっていく構成になっています。道路レベルのB2階は駐車スペースで、玄関のあるB1階には建物外部につくられた階段を上がっていくことになります。階段上には門扉、その内側はエントランスコートですね。それは建物の横を通って庭につながり、1階の大リビングに接続しますが、その“道”はゆるやかなスロープを描きながらスパイラル状に上がっていくことになります。はっきりと段差をつけた庭、次に庭に張り出したデッキテラス、リビング……という具合。

 

その頂に位置するのは、家族が全員で共有するプレイルームと子ども部屋です。それを最後に持ってきたところに、この家を設計した矢板さんの結論がありました。