設計を担当した橋爪さんは言います。「ここは4世帯全員がご夫婦で働いておられるので、家にいる時間の9割が夜なんです。だから照明が大切だなと思って、石田さんのお宅ではちょっと工夫して補助照明を使ったプランにしました。壁にライトが入っているので、夜はとってもステキですよ」
橋爪さんはここでもう1軒担当していますが、そこはアメリカ風のインテリアになりました。住み手の人がアメリカから素材を持ってきて、自分でもつくることに参加されたそうです。
石田さんの家は、リビングと階段室を隔てる壁がポリカーボネイトになっており、階段室のトップライトから落ちてくる光がリビングに入ってきます。またバスルームにもトップライトが付いていますから、陽光のもとでの入浴が楽しめるし、夜は星空の下で入浴することができるわけですね。
さらに4階のクローゼット付きの寝室は、最上階だからかなりの高さ。その下は企業の駐車場ですから視線を遮るものがなく、広々とした眺望が得られます。駐車場は夜には締め切られるので、プライバシーを気にする必要もありません。
スケルトンと残る2世帯のインフィルを担当した後藤さんは言います。
「コーポラティブハウスはマンションとは違って法的には長屋なんですよ。長屋という形式で1軒1軒家が寄り添って建ってるんだけど、それぞれが個性を持っている、だけど町並みとか環境に対してはきちんとした調和をなしていると。それは新しい時代の長屋ということだと思います」
分譲マンションのように決まり切った部屋には住みたくない、だけど一戸建てを建てるのは、経済的にむずかしい、そんな時代の背景をくみ取って生まれたコーポラティブハウス。それが新しい町並みを形成していく日も、そんなに遠い先のことではないかもしれません。
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