13坪の敷地に建つ奇跡の集合住宅
SOCIUSの岩間隆司さんが建てたデザイナーズマンションを見学してきました。
これは東急池上線の旗の台にある商店街の路地と路地に挟まれた、敷地面積わずか13坪という超・狭小のVゾーンにフラット形式とメゾネット形式をみごとに組み合わせて建てられた2戸の集合住宅ですね。
1階は入ってすぐにリビングとベッドルームを一つにまとめた部屋に通じる廊下。その両側にバスルームと収納が配置されています。ベッドの横に多目的なテーブル、そして一食分だけをつくれればいい小さなキッチン----シンプルだけど独身者がひとりで都市生活を楽しむには十分な機能的な空間といえそうです。
1階でかなり人目の多い商店街に面しているにもかかわらず大きなガラスの開口部が付いているのはご愛敬。人目が気になるときや外光が強いときなどは、すべてに取りつけ済みのブラインドで対応します。
続いて2階は1階にくらべるとかなりの広さのメゾネット形式の一室。そう、ここは2戸しかない集合住宅なんですねー。その下階は空間的には1階とほぼ同じ、違うのは上階にもうひとつ小部屋を設けたことです。
下階と上階は吹き抜けになっていて、それをらせん階段がつないでいる。しかしその間には遮るものがありませんから、完全に一体となったひとつの空間ですね。下からは上の様子が丸わかりだし、上から下を見おろすこともできる。
住まい手は上を寝室にして、下を空間的に広がりを持つリビングに充てるのでしょうが、ちょっと視点を変えて上階をワークルームに、下階をベッド&ブレックファーストの空間にというSOHO的な使い方もできそう。
建築家の手の入った建物は、そうした自由な使い方を考えるという楽しみがありますよね。そうした「気づき」を与えてくれるデザイナーズマンションでした。
■設計監理:SOCIUS 一級建築士事務所(岩間隆司)
http://www.socius.co.jp
■施工管理 :アイガー産業
■仲介管理 :リネア建築企画
●敷地面積 :42.50m2
●建築面積 :30.24m2
●延床面積 :63.18m2
●構造規模 :鉄筋コンクリート造、地上3階建て