古民家/古民家探訪

気持ちをほぐす古民家のにおい 都心に意外!目黒の古民家(2ページ目)

意外や意外、目黒区にはいつでも自由に見学できる古民家があります。原町の宮野古民家と碑文谷の旧栗山家主屋。歩いて10分もかからない場所に位置する2つの古民家は、都市生活者の疲れた心を癒す貴重な場所です。

執筆者:坂本 徹也

明と暗の美しい対比、
この「暗」が今の住宅から消えかけている

板の間と座敷を繋ぐ縁側、
虫干しに出された布団にくるまってした昼寝を思い出す

奥の座敷で山岡鉄舟直筆という掛け軸に感心し、広大な庭からの陽光と風を受けて過ごすうち、子ども時代に過ごした田舎の家がなつかしく思い出されてきました。今はなき実家に久しぶりに帰ってきたような感覚。そこには祖父母、父母、子どもたちという大家族が日々生活していた空気感が今も漂っています。時の流れというのはせつないものですね。

 
庭に向けて180度視界が広がる奥座敷、重要な客人はここで応接した

気を取り直して庭に下り、茶室を覗いたあと、建物の後ろにまわると、五右衛門風呂の浴室や農具や生活用具を収めた馬小屋とおぼしき別棟がありました。これらはひとつひとつ主屋とは離れた形で配置され、廊下や屋根でつながっていません。

 
京都などに残る茶室から見れば、田舎っぽさが目立つ“素”な茶室

 
炊事場は下働きの人用の仕様、お風呂はご存じ五右衛門風呂

農具などの古い民具には、私が子どもの頃にはまだ使われていたものもあり、この30~40年の近代化がいかに急速だったかをあらためて知らしめます。五右衛門風呂はたしか小学校に入るまで使っていました。釜の底に足がふれると、けっこう熱かったのをよく覚えています。

庭から母屋を見る、意外に現代っぽいたたずまい

縁側から見た庭の樹木、この環境あってこその日本家屋

宮野古民家
 目黒区原町2-5-8
 東急バス渋谷駅から洗足駅行
 原町交番前下車
 03-3712-0100
 10:00~16:00
 月曜定休(7/13~18は休み)
 入園料200円

次回では、引き続き旧栗山家主屋をご紹介します。

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