会社に求められる適切な制度運営の考え方
会社は、会社が「適切な制度運営」を行わなければ、社員に不利益の及ぶ可能性があることを十分に認識し、401k制度を運営するべきだと考えられます。これは投資教育等の説明責任はもちろんのこと、制度を運営する点での責任について認識の範囲を広げる必要がある、ということです。例えば、金融機関A社とB社のどちらを401kのサービス提供会社(運営管理機関という)として採用すべきか判断する際には、取引関係や資本関係ではなく「社員にとってどちらが望ましいか」で判断されなければなりません。社員の利便性を無視した判断をした結果、社員の運用に支障が生じたのであれば、会社は自己責任を社員に押しつけることができなくなります。
また、運用商品のラインナップを決定するとき、投資信託Cと投資信託Dのどちらにすべきか検討する際にも、「社員にとってどちらが望ましいか」を軸に決定しなければなりません。もし、取引関係等を優先してCを選択した結果、運用商品の成績が悪く、客観的な投信評価としても優れたDを選択していれば良かった、ということになれば、これもまた社員の運用に影響が生じますので、自己責任を社員に押しつけたとはいえないことになります。
会社がもし、運用の自己責任を社員に委ねたいと考えるのであれば、「制度の適切な運営」「制度の適切な説明」といった責任を果たし続けることが必要です。
401kを採用すればすなわち、運用リスクを社員に転嫁できる、と考えるのは過ちです。社員に適当と考えられる投資環境を提供してはじめて、自己責任を求めることができるわけです。
ここでは概略のみお伝えしていますが、企業年金連合会の「制度運営ハンドブック」においては、その考え方のポイントや判断指針、ケーススタディなどを盛り込んで、実務の参考となる情報を提供しています。
「制度運営ハンドブック」は私も検討と制作に関わっていますが、確定拠出年金の関係者(金融機関等)、企業の担当者、社員や労働組合の方々に目を通してもらえればなと思います。
(リンク)
企業年金連合会: 確定拠出年金制度運営ハンドブック
(全文および概要資料が掲載されています)