鉄道/引退

最後のボンネット型特急電車・能登(2ページ目)

1958年、東海道本線・東京~神戸間に登場した特急「こだま」は日本初の電車による特急列車として颯爽とデビューした。先頭車はボンネット型のスマートな車体で特急らしい風格を備えていた。その後は、北海道・四国を除く全国各地でボンネット型の特急電車が活躍したが、新しい車両の登場に伴い、引退が加速、最後の定期列車だった上野~金沢の夜行急行「能登」の廃止に伴い、半世紀に亘った活躍に終止符を打つ

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

ボンネット型に乗ってみる

発車まで20分以上停車するので、車両を観察するには充分な時間がある

発車まで20分以上停車するので、車両を観察するには充分な時間がある

上野発18時40分(平日のみ)の「ホームライナー鴻巣3号」に乗る。8番ホームにある自動券売機で500円の「ライナー券」を購入してグリーン車付近のドアで係員のチェックを受けて車内へ。

発車間際になると、大勢のサラリーマンが乗ってきて、ほとんどの2人掛けのシートは埋まってしまう。

といっても見ず知らずの人同士が相席になることはない程度の混み方だ。

ボンネット型先頭車クハ489の車内。元特急形だけあって、さすがにゆったりしている

ボンネット型先頭車クハ489の車内。元特急形だけあって、さすがにゆったりしている

金曜日のせいか、缶ビールやカップ酒を手にした人が目に付く。新聞や雑誌を読みながら一杯やって帰るのがホームライナーの流儀なのだろうか。夜でもあるので車窓を眺めている人は、一部の鉄道ファンくらいだ。

先を走る普通電車を追い抜けないので、スピードはそれほど出さない。もう少し速くてもいいと思うが、老体だから体をいたわりながら金沢へ向けて一晩走る前のウォーミングアップといったところだろうか。大宮、上尾、桶川、北本と少しずつ帰宅客を降ろしながら50分かけて終点の鴻巣に到着した。

鴻巣では充分休むまもなく10分ほどで上野へ回送となる。戻ると、今度は21時03分発「ホームライナー古河3号」として東北本線を往復。昭和の高度成長時に活躍した同期の「企業戦士」同様、老いても本当に働き者だ。引退には惜しみない拍手を送りたい。
鴻巣では、ゆっくり休むまもなく上野へ回送され、次の仕事をこなす

鴻巣では、ゆっくり休むまもなく上野へ回送され、次の仕事をこなす


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