カフェ/渋谷・恵比寿・原宿・表参道のカフェ

Biblioteque(ビブリオテック)…原宿

北参道近くに、デザイン会社が6千冊におよぶ蔵書を開放した美しいブックカフェが誕生。これだけのヴィジュアルブックを所蔵する「コーヒー付きの図書室」はまたとありません。毎月豪華なトークイベントも。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

ビブリオテークの写真
デザイン事務所「株式会社スーパースタジオ」が、贅沢な蔵書を一般の人々に開放。貴重なビジュアルブックの宝庫です。

スーパースタジオの素晴らしい蔵書を開放

近年、大小さまざまのブックカフェが登場し、街角に「本とコーヒーの愉しみ」が増えてきたのを歓迎するカフェ好きは多いと思う。ただ、ひとくちにブックカフェといっても、その中には飲食店の機能がメインのブックカフェと、書物の閲覧がメインのブックカフェがあり、かなり幅広いヴァリエーションが存在する。

2010年2月に誕生した「Bibliotheque(ビブリオテック)」は優れたヴィジュアルブックの宝庫で、いわば「コーヒー付きの図書室」。デザイン事務所「株式会社スーパースタジオ」社長、齋藤芳弘氏が40年間にわたって個人で収集してきた6000冊にものぼる貴重な蔵書を、ひろく一般の人々やクリエイターたちに役立ててほしいと開放したものだ。

洋書、和書を問わず、こつこつと大切に集められてきた本の数々。ファッション、デザイン、建築、写真などのヴィジュアル書のほか、60年代のアメリカの雑誌、70年代から『家庭画報』、『ELLE』、80年代の『VOGUE Paris』など、ファッション誌のコレクションも圧巻。
ビブリオテークの写真
ヘルムート・ニュートン、ブルース・ウェーバー、メイプルソープ。巨匠たちの一度は手にとってみたい写真集が勢揃い。絶版の本も多数。

利用料としてのコーヒーと紅茶は各500円

この美しいライブラリーの「利用料」は、深煎りのコーヒーまたは紅茶、500円のみ(おかわり200円)。それだけで、心ゆくまで深く豊かな時間を過ごすことができる。慌て者のあなたは…というより私自身に言いきかせるほうがよさそうですが、うっかりコーヒーをこぼしたりしないように気をつけて、大切にシェアしましょう。

DVDもヨーロッパの名作映画を中心に300タイトルあまり。所蔵作品リストを見てリクエストすれば、店内のソファに座ってゆっくりと鑑賞できるし、もちろん途中で観賞をやめるのも自由。クリエイターにとっては仕事の資料探しに、そうでない人々にとっても、日々のインスピレーションを得るのにまたとない場所だと思う。
ビブリオテークの写真
ガラス張りの入口に「The Book Store is here.」の文字。
この贅沢な空間で、司書的な役割を果たしているスタッフが稲葉恵一さん。かつてヴィジュアルブックの充実した有名書店で店長をつとめた時代があり、そこに齋藤氏がたびたび本を探しに訪れていたことから今回のご縁が生まれたという。

優秀な店長は、得意客のために素晴らしいサーヴィスを提供する。稲葉さんは「パリの大通りを歩いている男女の写真はありませんか」などという相談を受け、写真集の中からふさわしい一枚を探しだす作業もしていたそうだ。(ビブリオテックでも、場合によってはそのような相談にのってくれるそうです!)
ビブリオテークの写真
パスタのページ。斬新なレシピブック『ギィ・マルタンの芸術』は、ページごとに五感を刺激してやまない。

『ギィ・マルタンの芸術』は料理好き、デザイン好き必見

齋藤氏は出版社スーパーエディションも立ち上げており、そこで制作した『ギィ・マルタンの芸術』が料理本のアカデミー賞的存在「グルマンワールドクックブックアワード」の最高位を受賞。今年2月にパリで授賞式がおこなわれたという。

パリのミシュラン三つ星レストランの有名シェフ、ギィ・マルタンのレシピを掲載したこの本は、ただ感嘆するしかない、凝りに凝った美しいデザイン。各ページに創意が輝いている。本のカバーからして、実際のギィ・マルタンのレストランのテーブルクロス! クリストフル社の銀製のお箸までセットされているのだ。

購入すると5万円を超えるこのみごとな本も、もちろん実際にページをめくることができる。ぜひこのクオリティを五感でご確認ください。電子書籍では決して再現することのできない手触りが、ここにある。
ビブリオテークの写真
上:おすすめの一冊は香港のデザイナー、ALAN CHAN(アラン・チャン)の『MY CHINA:MY LIFE』。カフェ好きには新宿高島屋の中国茶サロン「茶語」のデザイナーとして知られていますね。私はここの烏龍茶葉カレーが好きです。
下左:『ギィ・マルタンの芸術』の1ページ。下右:『猫づくし』やポストカードは販売中。

地階はイベントスペース

建物の地階にはイベントスペースが設けられている。いずれはパリのカフェのような文化的拠点になれば、というのが齋藤氏の希望だそう。

すでに5月から「Bibliotheque文明講座」と題して、各界で活躍する人々を招き、質の高いトークイベントが始まっている。6月12日に開催される第2回文明講座は、なんと黒沢清×蓮實重彦という映画マニア垂涎の組み合わせで、チケットはとっくにソールドアウト! しまった…第3回情報も目が離せません。

稲葉さんから読者の皆さまへメッセージをいただいた。
「どうぞ書斎がわりに、お気軽にお使いください。クリエイターどうしの横のつながりも生まれるかもしれないし、もちろんひとりで静かに楽しまれるのも自由です」
ビブリオテークの写真
家具の大半は齋藤氏の私物。まさに、彼の書斎を共有させていただいているようなブックカフェ。

shop data

Bibliotheque(ビブリオテック)
【住所】 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-54-2
【TEL】 03-3408-9482
【OPEN】 12:00~21:00
【CLOSE】 月・日・祝
【MAP】 Yahoo!地図情報
【最寄り駅】 メトロ「北参道」駅より徒歩6分/JR「原宿」駅より徒歩8分。

ブックカフェ情報

月と六ペンス…京都・丸太町
「コーヒーは時間を止めるもの」と語る店主のカフェは、静謐な読書の楽園。レトランジェのバゲットを使った香ばしいサンドが絶品です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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