自家製レーズン酵母で、こんがりパンを焼く
浅草で生まれ育った藤岡真由美さん・恵さん姉妹が開いたベーカリーカフェ「粉花(このはな)」には、二つの“天然”があります。
ひとつはパンに使われる自家製の酵母。もうひとつは、笑みがこぼれるようなパンのおいしさや、ベーカリーカフェのなりたちの“天然”ぶり。「巧まずして」という言葉が私の脳裏をよぎりました。
パンを焼く楽しみを分かちあう喜び
「パンを焼くことは大好きでずっと続けてきましたが、パン屋を開くつもりはなかったんです」と藤岡真由美さん。
べーカリーにカフェを併設した理由を問えば、「店舗の設計の事情でたまたま広いスペースが空いてしまったので…」と、これものんびりした答え。では、こんな素敵なお店が生まれるきっかけとなったものはなんでしょうか?
「パンを焼く楽しみを分かちあえることの喜び」。
それがパン屋を開く原動力になったと、真由美さんは柔らかな笑顔で話してくれました。
パンがかわいい!
パンを焼くのは、そんなにも楽しいことですか?
「とにかくパンが、かわいくて!(笑) 酵母を育てている段階から、かわいいんです。瓶にレーズンと水を入れて酵母を育てるのですが、発酵して小さな泡があがってくる姿がかわいい。生地もかわいいし、焼きあがった姿もかわいくて、自然にかわいいという言葉が出てきます」
藤岡さん姉妹がパンづくりをしながら口にする「かわいい!」という言葉は、「心の音かもしれないね」と、お店を訪れたある人が感想を述べたそう。
しかしながら、姉妹が焼きあげるパンは、単なる「パン作りが趣味」というレベルから遠く隔たった、これは!と唸らせるおいしさ。次ページでご紹介しましょう。