もうひとつの人気メニューはオーガニックレモネード
コーヒーが苦手な人々に人気なのが、自家製のオーガニックレモネード（写真上左）。レモンは瀬戸内海に浮かぶ小さな島で長年に渡ってレモンを有機栽培してきた農家のもの。健やかに育ったレモンをスライスして、ニュージーランドのすばらしい天然はちみつに漬けて作るレモネード。他に加えるのは無農薬のショウガだけという、自然の恵みを凝縮した一杯です。
このはちみつの味見をさせていただいたのですが、原生林に咲き乱れる花々と蜜蜂のエネルギーが非加熱・無濾過で封じこめられた、実にいきいきとした風味。とくに「カマヒ」は芳醇で、まるで口の中で香りの打ち上げ花火が上がったよう！ 感動して思わず一瓶購入しました。
まるで花束。可憐なボンボンキャラメル
コーヒーのおいしさを二倍にしてくれるのが、優しい色調の小さなお菓子たち。パティシェの田中伸江さんによれば：
「空の下でお茶をしながらでも食べやすく、また何種類かつまんでいただけるようなサイズにしました。コーヒーがすっきりとしたアクのない味なので、それにあわせて、素材の香りがそれぞれはっきりと感じられるようシンプルに仕上げています」
とりわけ目をひくのが、田中伸江さんが修業したジュネーブのお菓子屋さんのスペシャリテ、ボンボンキャラメル。（写真下）
オリジナル版は棒なしだそうですが、田中伸江さんのアイディアで写真のような棒つきの姿に。これを数種類まとめてラッピングすると、まるで野に咲く花をそっと摘んで花束にしたよう。作るのに手間のかかるスイーツですが、小さなプレゼントとしても好評で、この花束を幾つかテイクアウトする男性客を目撃しました。
このボンボンキャラメル5種も、3段トレイに並ぶマカロン3種も、舌にのせると果実感がチャーミングに際立ち、鮮やかな印象を残してくれます。一度食べたら忘れない味。私は両者とも全種類購入して、誘惑に抗しきれずいっぺんに食してしまったのですが、ひとつひとつの味を鮮明に想起することができます。
NOAKEとは
「コーヒーは人が集まる場所に必要なアイテム」と田中謙吾さん。茶道の野点（のだて）をコンセプトに、東京の空の下でお客さまに自由に楽しんでいただきたいと、店名に “野空（のあけ）”という造語を掲げたのだそう。
屋台の可能性を大きくひろげてくれたNOAKE。こんな素敵なリトル・プレイスが生まれるなんて、近年、銀座と区別がつかなくなってきた表参道メインストリートにも、まだまだ新鮮な魅力があるのですね。
ラ・プラースの取り壊しに伴い、NOAKEも2010年2月末までの期間限定営業となりますが（3月以降の候補地を募集中だそう）、もう少し寒くなったら屋台の前に小さな椅子を置き、周囲をビニールシートで覆う計画があるそうです。街角を暖めてくれるNOAKE。真冬の光景が楽しみなのです。
