3人の男性オーナーがつくる、読書と“夜お茶”の空間
2009年4月、三軒茶屋駅から徒歩5分の路地に、20代の男性3人がカフェをオープンさせました。コンセプトは「日常を“圏外”に変える、自分だけの時間」。
メニューの主役は、サイフォンで一杯ずつ抽出するスペシャルティコーヒー。美しいランプの下がるカウンターで、静かに集中してコーヒーを点てている光景が印象的です。
カフェには幅広い楽しみがありますが、カフェ・オブスキュラでは、コーヒーを飲みながらゆっくり本のページをめくりたいという人にふさわしい空間がつくりあげられています。もっぱら一人カフェ派の私には嬉しいかぎり。
今日買ったこの1冊はこのカフェでだけ読む、と決めて通うのもおもしろそうですね。きっとページの中の物語とカフェの光景がわかちがたく結びついて、稀有な読書体験になることでしょう。
店名は写真機の原型となった装置「カメラ・オブスキュラ」から導かれたもの。camera obscuraとは、暗箱に空いたピンホールから入ってくる光が、箱の中に外の風景を映しだす装置の名称です。
カフェ・オブスキュラには、変化しつづける街の風景を映しだすとともに、時代を超越して価値あるものをカフェという箱の中に表現していきたい--そんな想いがこめられているのです。秀逸なネーミング。
ふと、都市論がさかんだった80年代最後に、写真評論家・伊藤俊治が綴った「シティ・オブスキュラ」というキーワードを思い出しました。写真都市。壁面の大きなスチール製の書架には、古いNiconのカメラが飾られています。