青山の名店が高輪の地に誕生
山手線品川駅前に点在するシティホテルの間を抜け、グランドプリンスホテル高輪へと続く品川~高輪ホテルストリート。その坂とも感じないようなゆるやかな坂をのんびりのぼっていくと、青山の名店ラス・チカスの小さな看板が現れます。高輪のお店は2008年に誕生。青山の隠れ家的スピリットを継承しつつ、この場所ならではの贅沢で心地よい空間に仕上げられています。
お店は新しい瀟洒なビルの地下1階。右手のビル内エレベーター、もしくは左手の螺旋階段で降りてください。私は緑と水に包まれた地階テラスの空気を感じながらゆっくり降りていくのが好きなので、階段を使っています。
早くも、テラスで食事を楽しむ人々が
春めく3月のある日。「今日のお昼は最初にテラスから席が埋まっていきました」とマネージャーの内田智之さん。地階であることを感じさせないみずみずしい緑と流れる水音に包まれたテラスは、これからの季節、昼も夜も新鮮な空気とリラックスした時間を満喫できる場所になりそうですね。
昼と夜とで店内の空気感が違うのも魅力のひとつ。夜のラスチカスは照明のコントラストが美しく、若い時分なら小さな胸騒ぎをおぼえたに違いない、美しい予感めいた気配に満ちています。「夜の空気の鳥」--ある作家がそんな言葉を記していますが、そう、ここには夜の空気の鳥がたくさん飛んでいるようです。
人によってはそれを幻惑や幻想などと呼ぶのでしょうが、淡い幻想ひとつ抱かない人生なんて、たぶん賢すぎてつまらないでしょう!