カフェスピリッツ+上等ごはん=代官山の定番
私にとって代官山は何度も“卒業”した街のはずでした。昭和の面影をとどめる同潤会アパートが取り壊されて代官山アドレスがそびえ建ち、思いを寄せていた小さなカフェが幕を閉じて以降、代官山にはすっかり足が向かなくなっていたのですけれど、再びこの街を散歩するのが楽しいなと思えるカフェに出会いました。それがholy。
デザインを手がけたのは、バワリーやLotusなど東京カフェ流行の発信源のひとつとなった店舗をデザインしてきた形見一郎氏。もとは一軒家の半地下の車庫と書斎だったという空間は、奥に採光部を設けて小さな緑を配し、圧迫感を解消してあります。 大人の男性が落ちついて食事を楽しめるようにと意図された、潔くシンプルで機能的なインテリア。グレイのソファをゆったりと配した空間の最大のアクセントは、くつろぐお客さまの姿と、何気ないようでいてしっかりと訓練されたスタッフの動き。 |
holyをオープンするにあたり、バワリーのプロデューサー山本宇一氏のもとで3年間学んだオーナーの川上洋介さんにお話をうかがいました。そこから、目ざといお客さまでさえ、よほど注意していないと気づかないかもしれないほど細やかな、しかしあくまでもさりげない接客の理想像がくっきりと浮かびあがってきたのです。