「普通なのに、ほかでは食べられないおいしさ」
写真上は、イタリア料理店でよくお目にかかる定番食材スカンピ(手長海老)の旨みと甘みをコクのあるクリームソースの中に凝縮した魅力的な一皿、「スカンピのリゾット」(990円)。PEACEのお料理の魅力は、オーソドックスなイタリア料理を手応えのある直球のおいしさに仕上げていること。メニューのすみにはタコライス(900円)やロコモコ(950円)といった“カフェのごはんもの”も顔をのぞかせています。
「めざしているのは、ごく普通で気取らない料理なんだけど、よその店では食べられないおいしさ」
山下さんがそう語る通り、奇をてらった一皿はPEACEのキッチンでは作られません。みんなに幅広く愛されるメニューに、若さと元気の良さを加え、飾らないけれど正統派のおいしさが楽しめる一皿としてサーブしてくれます。
私はビネガー+白ワイン+秘伝のスパイス各種の中に、さまざま野菜をほどよい加減に漬けこんだピクルスが大好きなのですが、さりげなく出された小さなピクルス(写真上)は、思わず作り方を教わりたくなってしまう出来ばえでした。
この夜同行したパスタ好きの夫は、オリーブ、ケッパー、アンチョビ、ニンニクをトマト味でまとめたプッタネスカ(950円・写真右)に舌鼓を打っていました。
二人でいただいたのは、赤ワインのボトルを1本注文して、まずは前菜として、ナスやトマトなどたっぷりの野菜を煮込んだ、フランスのラタトゥイユのイタリア版とも言うべき「カポナータ」(780円)、大皿にソーセージ、生ハム、クロスティーニなどを盛り合わせた「トスカーナの前菜ミスト」(1300円・写真下)、上述のスカンピのリゾット、スパゲティプッタネスカ、メインは香ばしく焼かれた「大和豚のグリル」(1300円)、そしてしめくくりはエスプレッソと絶品チョコレートスフレ(550円)。おなかも心もすっかり満たされた夕食でした。