伊藤さんはこの木造アパートのすぐ隣で生まれ育ち、墨田区から離れたことがないという生粋の下町っ子。 築40年以上を経てずっと空き家になっていた賃貸用の木造アパート「藤美荘」を半年間かけて自分の手で改装し、店舗&ギャラリーへと生まれ変わらせました。
木造アパートの間取りは、1階が6畳、6畳、9畳、共同キッチンと共同トイレ。2階も同じ構成で、お風呂のないこのアパートに、かつては6世帯が住んでいたといいます。現在のSPICE cafeのオープンキッチンは、その共同キッチンを改装したもの。
「こつこつと改装作業を始めたら、しだいに友人やご近所の方々、親戚たちが手伝ってくれるようになったのです。下町の良さをしみじみと実感しましたね」
と伊藤さん。
「昼間に地元の人々が、町のあちこちで立ち話をしているんです。そんな環境ですから、僕が店を作り始めたら話がすぐに広まって、協力してくれる人が増えていきました」