旨味を泡が包む
前菜は温かいラヴィオリ(具を包んで平たく形作ったパスタ)である。『赤座海老のラヴィオリ マンゴーとトマトのコンフィ 柚子風味のムース』と題されたこの料理、軽く泡立てられたクリーミーなソースに浸ったラヴィオリはイカスミを練り込んだのだろう、真っ黒で意表をつかれる。ナイフを入れればブリブリと強めの弾力を感じさせるしっとりとした赤座海老が詰まっており、中心部にマンゴーとトマトを煮詰めたコンフィが入っている。
歯ごたえを楽しみながら食べると、口の中で赤座海老とラヴィオリとソースが混ざり、違ったタイプの旨味が感じられる。トッピングされた白い泡はコショウの香りを仕込むこともあるらしいが、柚子の香りにしてあるのはきっと、ベル エポック2002年にあるフレッシュな香りとの相乗効果を狙ったものだろう。また、泡立てたソースやトッピングは現代的な手法。口当りが泡同士ということもあり、軽やかでシャンパーニュと相性が良い。
注がれたベル エポック(左から1996年と2002年) |