さらに南極に近い畑へ
南米大陸の西岸に細長い国土があるチリ。南緯37度あたりにビオビオがある |
以前からコノスルは、ゲヴュルツトラミネールやリースリングのように涼しい気候に向いた品種で一部、ビオビオ産を使っている。リースリングを初めてビオビオに植えたのは、ほかならぬコノスルなのだそうだ。
温暖なチリにあって比較的涼しいブドウ産地としては、首都サンチャゴの辺りにあるカサブランカ・ヴァレーが知られる。カサブランカはビオビオから600キロメートルほど北、ブドウ栽培地帯のほぼ北端にある。一見ビオビオとは逆に暖かいように思えるが海に近く、南極側から来る低温の海流に冷やされるのだ。
同じシャルドネでも中央部の産地では2月中旬に収穫するがカサブランカでは4月20日頃に摘み取るというから、時間をかけてゆっくり熟し、風味の豊かなブドウが出来る。コノスルの上級ワインのうち、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネールでカサブランカ産のブドウを使っているワインがある。
チリのワイン産地の南端と北端だけを例に挙げたが、他にもマイポ、ラペル、コルチャグアなど、チリには全部で10地域ほどある。こうした地域毎に気候が違って、得意とするブドウ品種がある。各地区のブドウをうまく使い分けることが、コノスルのように生産量の多いメーカーにとって重要なのだ。