はっきり見えない!
映像ディレクターの丹下絋希が出品したのは『Defocus ―焦点の合わない肖像―』。マダム・クリコの顔の中央だけが並べられているように見えるが、どれも一部がぼやけたり、ダブったり、薄れたりしていて、思わず注視してしまう。見ているうちに、なんだかもどかしくなる。だが作者は「くっきりと見えるのが良いことではないのだ」とうそぶくのである。大杯にたゆたう花のきらめき
一番華やかだったのは何と言っても、フラワー・デザイナーのジェーン・パッカーによる、英語で『Toast to brave CLICQUOT!』と題された作品。訳せば「勇敢なクリコ氏に乾杯!」。巨大なグラスの中に揺れる水中花、コンセプト的に言えば「酒中花」とでも呼べるだろうか。メタリックな茎に支えられたイエローのバラが、少しずつ立ち昇る泡の中で揺れている。下からぐっと照らし上げるライティングも強烈で、インパクト充分。
他にも、ラベルの幸運の錨(いかり)マークに注目して黒地のTシャツにキラキラ光る碇マークを入れた田中知之(DJ)& 濱中三朗(デザイナー)コンビや、マダムがスクリーンの中ですらりと立ち上がってアニメキャラと一緒に音楽に合わせてダンスするクンゼル アンド デガ(フランスの動画デザイナー)の作品など、ユニークな視点が良かった。
で、これをワイン的に見ると……