「今年は春が来ないのではないか?」と思うほど、この冬は寒かったのですが、あっという間に春が来て、時には汗ばむほどの気温の日も多くなってきました。気温が上がると食べたくなるのが冷たい食べ物です。麺類好きな私としては、冷し中華や冷麺(最近『冷麺で恋をして』という歌も出ましたね)を思い浮かべます。
ところが最近は、森永製菓の『冷やし甘酒』(北海道限定)のように、温かくして飲食するのが当たり前と思われるものを冷やすというケースがあります。甘酒は冬の飲み物と思われていますが、俳句の歳時記によると甘酒は夏の季語でして、江戸では夏の飲み物だったそうです。確かに甘酒はホットだと麹(こうじ)の香りがツーンとして飲みにくいこともあるのですが、冷やして飲むとちょっと喉にからまるくらいの粘度が清涼感を感じさせます。
そして次に冷えてしまったのが何とカレー。大塚食品から『冷しカレー』なるレトルトカレーが出ました。ホームページによれば、『温かい物+冷たい物=おいしい』という公式が日本の食文化にはあるそうで、それをカレーで実現したそうです。この話を聞いたとき、本当においしいのか? という疑問が出てきましたが、やはりここは自らの舌で判断しなければいけないと思い、食べてみることにしました。
食べ方は『冷蔵庫で冷やして、あつあつごはんにかける』とありましたので、箱から出して冷蔵庫で冷やして、温かいご飯にかけてみました。普通のレトルトカレーは常温だと固まっていますが、これは冷たくてもサラサラしており、難なくご飯にかけられます。内容量は150グラムと、一般的なレトルトカレーの200グラム前後よりも少なめになっています。味はビーフとチキンの2種類です。
味ですが、ビーフは辛め、チキンは甘めで、あっさりした味付けになっており、途中で食べるのがイヤになることはありません。また、最近のレトルトカレーは具が大きめですが、これは具が小さめですので口に余ることもなく、軽い口当たりとなり食べやすくなっています。箱にはご飯以外にも、ゆでたてのウドンやスパゲティにかけるというバリエーションも楽しめると書いてありますので、真夏の体力が落ちた時でも、無理なく食べられることでしょう。結果としてこの冷しカレー、外れではないと思いました。
ところで大塚の製品ですが、『一度発売したものは絶対やめない』というポリシーがあると聞いたことがあります。オロナミンC、ボンカレー、ポカリスエット等、最初は際物扱いだったのに、いつの間にか全てロングセラー、それぞれのジャンルで確固たる地位を築いている商品ばかりです。また、『下手な鉄砲も数打ちゃ当たる』式で次から次へと新製品を乱発するのではなく、少数精鋭主義で必ずヒット作にするというのがすごいところですね。
以上の事から考えて、この冷しカレーは新しいカレーの食べ方として、また、新しい夏の風物詩として定番商品となるのではないかと予想します。今年の夏は昨年同様暑い夏になるのでしょうか。きっと冷しカレーの出番が何回もあることでしょう。
大塚食品(大塚化学食品部)http://www.tok.otsukac.co.jp/otsukac/foods/index.html