毎年春になると気になることがあります。コカ・コーラ社のファンタでその年限定の味が発売されるのです。ファンタといえば、子供から大人まで誰でも知っている炭酸飲料でしょう。しかし、ファンタほど歴史の波に翻弄された清涼飲料水は無いと思います。今回はファンタ出生の秘密について調べてみました。

 ファンタの出生は第二次世界大戦の頃までさかのぼります。既にドイツでもコカ・コーラは販売されており、第一時世界大戦中、コカ・コーラの故郷であるアメリカに送られたドイツ兵の捕虜に「アメリカでもコカ・コーラを売っていたぞ」と言わしめるほど、ドイツでもコカ・コーラはポピュラーな清涼飲料になってました。

 その後ドイツにおいてヒトラーが政権を握り、ナチス軍がヨーロッパ諸国を侵略しました。ナチスの拡大が結果としてヨーロッパへのコカ・コーラの伝播を助けていたにもかかわらず、ナチスは「ヨーロッパ文明への脅威」を建前に一般市民がコカ・コーラを飲むことを好みませんでした。そのため、コカ・コーラの原液の輸入がストップし、代用品としてドイツのコカ・コーラボトラーが開発したのが「ファンタ」という名前の果実フレーバー(無果汁)炭酸飲料だったのです。

 第二次世界大戦後、コカ・コーラ社の海外部門が商標を買い取り、1955年にイタリアで販売され、ヨーロッパ全土で流行したところから、世界中にファンタが広まりました。日本においては、第二次世界大戦後コカ・コーラを国内生産する計画が持ち上がりましたが、当時は戦後の復興時にあたり、コカ・コーラ原液の輸入により貴重な外貨を消費することが問題となり、コカ・コーラの製造販売にストップがかかってしまいました。そこで、1958(昭和33)年、コカ・コーラに先駆けてファンタがコカ・コーラ社製品として日本国内で製造販売されることになりました。

 さて、時代は現在に戻ります。今までは毎年1種類新しい味が発売されていましたが、昨年2000年は春に「さっぱりリンゴ」、夏に「あっさりベリー」の2種類が発売されました。これは女性ターゲット路線を走るコカ・コーラの戦略によるものと思われます。今年も斬新な味を楽しめることを期待したいですね。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。