ラーメン/中部のラーメン

たった一杯ずつしか作らないこだわりのお店! 一杯入魂のラーメン

ラーメン店では一度に複数人分のラーメンを作るのが普通。しかし、混んでいても一度に一杯ずつのラーメンしか作らないというこだわりの店もあります。今回はその“一杯入魂”の店を紹介します。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

先日、新潟へラーメンツアーに行ってきました。8月、9月各一泊二日のラーメンの旅で総杯数29杯。その中でキラリと光った2軒を紹介させていただきます。

この2軒は、いずれも人気店です。しかし、混んでいても行列ができても、作るラーメンは一杯ずつ。そう、その一杯ごとに魂を込めてお客様に提供しているのです。

【来味(らいみ)】二代目の気迫に圧倒。
まずは、駅からそう遠くないものの、意外に静かな住宅街にある「来味(らいみ)」。外観は、普通の中華料理店風。知らずに前を通ったら、そこがこだわりの一杯を出してくれるお店だとは、誰も気が付かないことでしょう。

店内に入ると妙な緊張感が漂っています。これは、まだ若きご主人(二代目)が究極の一杯を提供するための気迫が店内一杯に溢れ、お客さんもそれを感じているからです。仲間と一緒に入った私も話をせずに、店主の一挙手一投足に視線は釘付け。一杯ずつ丁寧に丁寧に作ってくれます。

そうして出来上がったラーメンが美味しくないはずがありません。スープは醤油とも塩とも違う独特の色・味、そして新潟の特徴でもある煮干しが効いています。麺は細めの縮れ麺。おそらく時計を見ながら1秒も違わずに麺を茹であげています。その絶妙な茹で加減には感心してしまいます。

スープは熱々で出てきますが冷めるとまた違った味わいになって、最後の最後までついつい飲んでしまいます。丼を置いたときには「ふぅ~っ」とため息が出てくることでしょう。
【DATA】中華の来味(らいみ)
住所:新潟県新潟市紫竹1-17-18 TEL:025-244-5355 営業時間:11:30-14:00、17:00-21:00  休日:火曜日


【味みつ】ラーメン作りには、リズムが必要。
新潟大学の南側すぐ近くにある人気店。場所柄、学生御用達のお店かと思ったら、そうでもなさそう。開店前に着いたのは私達だけではない。暖簾を出したかと思ったら、20席くらいあるのにすぐ満席に。

私は可能な限り、カウンターに陣取り、ラーメン作りを見学させていただきます。まるで電車の先頭車両に乗った子供が運転席を覗き込むかのように・・・。

「来味」の気迫に対して、こちらで感じたのは“リズム”。ご主人が担当するのはスープと麺あげ。細麺なので麺茹でには神経を使います。だからこそ、一杯ずつしか茹でないのでしょう。盛り付けと接客は奥さんにお任せ。ご主人は一杯一杯に神経を注ぎます。このコンビネーションがまた素晴らしいです。

麺茹での時間はわずか10数秒。ここが、勝負どころなのでしょう。良く動くご主人も麺を上げる瞬間は麺と対峙します。さらに、少しでも茹で湯が濁ったら、すぐにお湯を取り替えます。他の店では考えられないほど早めに。ご主人の麺に対する愛情がうかがえます。この姿勢は、行列ができても守ります。いや、これほどに徹底しているからこそ、行列になってしまうのでしょう。

スープはきれいに透き通った醤油味。煮干しが効いています。新潟産モチ豚を使ったチャーシューは薄切りながら味わい深い。バランスのいい繊細な一杯、ここに極まれり。
【DATA】味みつ(2002年5月に移転のため閉店。移転地はまだ不明) 住所:新潟県新潟市大学南2-22-18 TEL:025-263-5759 営業時間:11:00-14:00、17:00-品切れまで 土曜11:00-15:00、17:00-品切れまで 日曜11:00-品切れまで  休日:木曜日
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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