明日を待つ花々や苔玉が潤いを与えるバー。
夜はかなりライトダウンされるBar風花。 |
30代後半以降の男性に混じり、一人で訪れる女性も増えているという、ここ「風花東京」のBar風花。夜8時からの営業ということもあり、どこかで食事を済ませ、立ち寄る人も多いようですが、長時間過ごす間に、お腹が空き、結局、フードメニューをオーダーする人も多いよう。
そんな長時間滞在の理由は、やはり居心地の良さ。青山通りから少し奥まっているため、静かであるのに加え、冷蔵ケースで明日を待つ花々や背の高い鉢植え、苔玉の姿が、多忙な日常にしばしの潤いを与えるのも、大きな要因です。
某有名人がひと目惚れでお取り置きした松のひとつ。 |
その証拠に、ここで飲んだ帰りに、目の前に鎮座していたミニ盆栽が愛おしくなり、購入して帰る人も数知れず。実は、有名人も深夜に飲みに訪れ、気に入った鉢植えを、お取り置きして帰ることもあるのだとか。
では、どんな人たちが、この「風花東京」に集まってくるのでしょう。それは、偶然の通りがかりが約2割。あとは、口コミなのだそう。それでも、カウンターを中心とする約20席ほどの店内は、けっこう満席というから、いかにリピーターが多いかです。来店者の中には、なんと京都のお坊さんもいるのだそう。
メルアドを聞かずして、次の約束をする“粋”。
ボトルが並ぶバーのカウンター席。 |
その中でも、見過ごせないのが、別々に訪れた見ず知らずの男女が、たまたま近くの席に座ったことで、意気投合する場面。中には、名刺を交換し合い、そのまま一緒に帰る男女、はたまた「来週の同じ曜日にまたここで」と、次の約束をかわし合う男女もいるのだとか。
手っ取り早いメールアドレスを聞かずして、次の約束を取りつける“粋”は、やはりバーならでは。無意識の“婚活”とも言えるでしょう。
でも、そうと聞けば、その後どうなったかが、一番気になるところ。「一緒に帰った男女が、次から一緒に来るという例はまだないですが、次の約束をした男女は、ここでまた会っている場合が多いですよ。ここは、2007年12月オープンで、ちょうどまる1年。これからは、もしかすると、ここで出合った男女が、ここで披露宴を行うという展開があるかもしれませんね」。
一人飲みの心得は、お店に身をゆだねること。
バースタッフ。左から、本間彬さん、石森恵太さん、堂園佳督さん。 |
そんな話をしてくれたのは、Bar風花店長の堂園佳督さん。「ここに来て下さる人たちは、花に興味のある人も多いので、そんな共通点が話の糸口になるのでは。僕たちも、一人で来た女性には、「お花、好きなんですか?」と話かけることもしばしばです」。
「でも中には、飲むのは好きでも、口ベタで、なかなか打ち解けられない女性もいますよね。その場合、どうしていますか?」と聞いたところ、「そのままでいいんです」。
「無理に話そうとしたり、楽しまなければと思ったりせず、まずは、お店に身をゆだねてほしい。ここは植物も多く、店内にトゲになるものがないので、空間そのものが愉しみのひとつ。その中で、趣味やお酒など、話しやすい内容の話から、こちらがちゃんと誘導していくので、安心して座っていて大丈夫」。
夜のバーのテーブル席は、昼間は花を置く台。 |
「一人で飲みに来た女性が、最も魅力的に見えるのは、どれだけカッコよく飲んでいるかより、いかに素直に楽しんでいるか。仕事のグチを言いたい気分なら、それを話せばいいし、身のうちを話すことで楽になるなら、それを口にしてもいい。心を開いてくれたと感じる瞬間は、こちらとしても嬉しいもの。なので、あえてテンションが低い日に訪れ、植物とトークで元気になって帰ってくれるのも、僕らスタッフにとっては、光栄なことなんですよ」。
なんと、心強い。確かに、こうして話していても、取材する側の私の方が、堂園さんの程よいエッジとテンポのある話し方に、ぐいぐい引き寄せられていくのを感じます。「風花東京」に来る前は、銀座のバーで10年以上、接客にたずさわっていたそう。現在、一緒に働く石森さんと本間さんも、その頃からの仲間。「なので、もうほとんど家族同然。キャンプに行ったり、休みの日にもよく遊びます」。
と書くと、端整な顔立ちゆえ、銀座で派手にやっていたのではと思いがちですが、話の端々からは、仕事熱心で思慮深い一面がよく伝わってきます。たとえば、それは、終電前にさりげなく声をかける配慮など。「話の中で、それとなく帰りの方面を聞いておき、時間を忘れているようなら、水をささない程度に、軽く「大丈夫ですか?」と促したりもしています」。
「カッコイイことで、何か損したことって、今までありましたか?」と本間さんに聞いてみたところ、「そんな」と謙遜しながらも、やはり「ちゃらちゃらしてると思われるところ」だそう。外面と内面を正しくつなげるのは、やはり会話なのですよね。
お奨めは、パスタとグリーンのモヒート。
ルッコラと有機トマトのオリーブオイル和え。 |
そんな堂園さんのお奨めは、4種類ほど用意しているその日の「パスタ(1,200円)」。この日は、「ルッコラと有機トマトのオリーブオイル和え」、「豚肉とキャベツのペペロンチーノ」、有機野菜を使った「トマトソース」、キノコ、茄子、ベーコンを使った「和風ソース」がありました。
フレッシュミントたっぷりの「風花特製モヒート」。 |
また、その他のメニューとしては、「風花特製カツサンド(1,200円)」「カプレーゼ(900円)」「チーズ盛り合わせ(1,200円~)」なども人気。ドリンクなら、グリーンが多いこのお店の雰囲気とマッチした、フレッシュミントたっぷりの「風花特製モヒート」がお奨めです。
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