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イル カランドリーノ 東京 新丸ビル

【2009年3月閉店】ミシュラン史上最年少3ツ星シェフ・マッシミリアーノ・アライモ氏の日本初出店リストランテです。食べ慣れた味に新鮮な魔法をかける名物のカルボナーラや工夫を凝らしたドルチェは、美食の境地!

執筆者:河野 優美

【こちらは残念ながら、2009年3月に閉店しました】

ベリーレッドとピスタチオグリーンが魅了するドルチェ。


イル カランドリーノ 東京
目の前に置かれた「ピスタチオのセミフレッド」。ラズベリー、ブラックベリー、フランボワーズを合わせたレッドソースが、ひときわ目を引く鮮やかな逸品。

人って本当に美味しい時、その気持ちとは裏腹に貧困な賛辞しか思いつかないものかもしれません。

これは、ピスタチオのアイスクリームにベリーの果肉が入ったグラニタをかけ、ピスタチオを散らしたもの。スプーンを入れると、外側の赤をさらに際立たせるように、きりりと引きしまった黄緑が顔をのぞかせます。

このデザートの最高の賞味時間は、およそ3分。ゆるやかな半氷のソースが溶けきってしまわないうちに、さっといただくのが、どんな飾り立てた言葉より最も「おいしい!」を表現する方法でしょう。

ロンドン、NY、ラスベガス、断ったオファーは数知れず。


イル カランドリーノ 東京
この素晴らしいドルチェを創り出すのは、「料理界のモーツァルト」と評されるマッシミリアーノ・アライモ氏。イタリア・パドヴァの3ツ星レストラン「Le Calandre(レ カランドレ)」のシェフです。

22歳で2ツ星、28歳で3ツ星と、どちらもミシュラン史上最年少に輝いたその腕は、世界各国から人を訪れさせる魅力に満ち溢れています。

その栄えある海外初出店となったのが、新丸ビルの「il Calandrino Tokyo(イル カランドリーノ 東京)」。ロンドン、ニューヨーク、ラスベガスなどからの誘いを断り、このビルで唯一テラスを持つ7Fにその根を下ろしました。

成功を手にするシェフには、それを手にさせる素晴らしいサポーターがいる。


イル カランドリーノ 東京
そこは、このビルの中で唯一テラスを持つ「丸の内ハウス」というフロア。実は、新丸ビルのオープンの際、個々のお店が事前取材をOKする中、最後までベールに包まれていたのが、この丸の内ハウスでした。その陽射しのフレームで四方を囲まれた魅惑の領域は、その全容が明らかになるとともに、若き天才シェフのリストランテを白日のもとにさらしたのです。

その際、シェフとともに来日していたのが、ラファエレ・アライモ氏。本国で総支配人を務めるシェフのお兄様です。「弟には食に集中してほしい」とお料理以外のすべてを引き受け、シェフにはいつも一番いいものを食べさせ、飲ませ、影になり、日向になり、シェフを支えてきた人。

来日の際も「しゃぶしゃぶを食べないとホテルに帰れない」と言うシェフとともに、閉店前のお店へ駆け込んだ逸話も残っているそう。やはり、成功を手にするためには、いいサポーターがそばにいてくれることはまさに不可欠なのですよね。そして、取った星のためにがんじがらめになったり、がむしゃらになったりせず、うまく肩の力を抜いて頑張れるのは、きっとこの兄弟愛があるからなのでしょう。

なので今回のこの出店も、二人がいてこそ。

次ページでは、そんな兄弟愛がはぐくむ海外初進出店のお料理をご紹介します!
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