勝負は時の運。最高のプレイヤーが最高のパフォーマンスを発揮しても時には敗れてしまうこともあります。問題はその時の立ち振る舞いです。


敗北とは誰にとっても受け入れ難い事実であり、悔しさのあまりつい醜い本性を曝け出してしまうもの。ましてや一流プレイヤーの勝負となればそこにかかる名誉、賭金、地位など背負っているものが我々常人とは比較にならほど大きく、その屈辱感もとてつもなく巨大なはずです。

にもかかわらず高い自己抑制発揮し、一切醜態をさらすことなく泰然自若と負けを受け入れた一流ギャンブラー達のエピソードをご紹介しましょう。


●ポーカーの天才が10万ドル失った理由は・・・

厳しい状況にさらされてもウィットやユーモアのセンスを忘れないことは重要です。『ギャンブル 病みつきになりそうな話(2)』(びっくりデータ情報部編 河出書房新社)からこんな話をご紹介します。

天才的なポーカーの腕でアメリカの社交界に輝いたクラーク・リードン。その晩年、彼の波乱の半生を題材とした映画製作の話がもちあがりますがクラークは断ります。しかしこの映画のヒロイン役に内定していたハリウッド女優ジル・シモンズがせめて記念にクラークと手合わせしてみたいと申し出ます。ジルは自腹1万ドルでクラークに挑戦するものの、全く相手にならず敗北。

クラークはここでとんでもない条件でリターンマッチをジルに持ちかけます。

「私は10万ドル、あなたはその体を賭けて勝負しませんか?」

誰もがこの申し出を断るだろうと思ったその瞬間、ジルは果敢にも勝負に応じます。そして結果はなんとクラークが負かされてしまいました!



素人相手にしかも10万ドルという大金を失ってしまったこクラーク。が、彼はテーブルからハートのクイーンを摘み上げると、このカードを爪弾きながら吐いたのが次のセリフ。

「こいつがヤキモチを焼きやがった!」


常人ならば汚い捨てゼリフをわめき散らすのが関の山でしょう。クラークはユーモアをさえ感じさせるセリフでその悔しさを押し包みました。

次に登場するのが19世紀のイギリスで史上に冠絶するダンディとまでいわれた世紀の洒落者、ジョージ・ブランメル卿です。