散歩/グルメ・行列・銭湯の散歩ルート

「夫婦善哉」を読みながら大阪食い倒れ散歩

小説家織田作之助の作品には大阪の町や店の名前が多く登場する。とくに『夫婦善哉』はガイドマップさながら実在の店が出てくる。今回はそんな小説の舞台を歩いてみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

梅田をスタートする

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大阪の背骨ともいえる地下鉄御堂筋線
僕にとって最初に都会というものを教えてくれたのは大阪であった。大学時代の5年間、大阪に住んでいたのだが、都市を歩く快感というものは、この大阪で知った。
というわけで、今回は大阪を歩くことにした。JR新大阪駅より地下鉄御堂筋線で梅田まで。新幹線から地下鉄に乗り換えたときに大阪にきたのだと実感した。それは人々の歩く速度である。大阪人は東京などに比べ、歩くスピードが速いのだ。

『夫婦善哉』の舞台、ミナミへ

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阪神百貨店の前の御堂筋を南へ歩く。
さて、今回は織田作之助の書いた『夫婦善哉』の舞台を歩く。
昭和15年(1940年)に発表されたこの小説は映画化されたり、テレビドラマにもなっているので、ストーリーを知っている人は多いだろう。
メインキャラは、曾根崎新地で働く17歳の芸者、蝶子(ちょうこ)と梅田新道の化粧品問屋の若旦那である柳吉(りゅうきち)の2人である。柳吉のほうは31歳で、妻帯者で子持ちである。この2人が一緒に暮らすところから物語りは始まる。
蝶子が一生懸命、芸者をしてためた金を柳吉は一晩で使ってしまったり、というように柳吉はダメンズの代表のような男である。
しかし、柳吉は食通であり、うまいもんをよく知っている。芸者の蝶子はそんな柳吉についていろいろなものを食べに行くというのが、この小説のおもしろさのひとつになっている。

梅田新道の交差点を南へ

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梅田新道の交差点をくぐる地下道
蝶子が最初に芸者となったのは、曾根崎新地で、柳吉の化粧品問屋は梅田新道で大阪でも「北」と呼ばれるエリアだが、その二人が所帯を持つのは、黒門市場の路地裏の家の二階であった。
これは大阪の「南」である。
柳吉にいわせると、北にはうまいもんを食わせる店がなく、うまいもんは何といっても南に限るそうである。そして、うまい物を食わせる店がいくつか出てくる。
さあ、きょうもそういう店に行くぞと御堂筋をとにかく南に歩いた。ここは、さきほど乗った地下鉄御堂筋線と同じで、駅でいえば梅田、淀屋橋、本町、心斎橋、なんばということになる。駅は5つあるが、梅田から難波までは4.4kmで、歩いてもさほど時間はかからない。

次ページでは

梅田から難波まで歩き、自由軒で名物カレーを食べ、法善寺境内にある夫婦善哉でぜんざいを食べ、最後は「くくる」でたこ焼きを食べた5.1kmのコース。

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