昭和の雰囲気を漂わせた「かき氷」
この日、僕は浴衣姿である。「たいめいけん」を出て、永代通りを茅場町方面へ歩く。夏の日差しが照りつけている。汗が吹き出てきた。
住居表示が新川になって、ちょうど新川1丁目の交差点を左に曲がる。
すると、赤く「氷」と書かれた幟が目に入ってきた。これを見ただけで涼しくなった。
「田川堂」である。
創業は明治。この建物は戦後すぐに建てられたそうだ。
クーラーではない。店の戸は開け放たれて、扇風機が回っている。
まさに昭和である。僕が子供のころ、クーラーなどというものはなかった。
夏は暑いものであった。あの時代にまるでタイムスリップしたようだ。
細かい氷が口なの中でとけていく
ほどなく、ガラス皿に盛られた氷が出てくるのだ。
ここは、和菓子屋さんで、手書きのメニューの中には、「抹茶とお菓子 400円」とある。
夏だけではなく、いつ来てもいいんだ。
かき氷屋さんといえば、夏はかき氷、冬はどら焼きというイメージが僕の中にはあったが、ここは上品な和菓子屋さんである。和菓子を店内で食べることもできるのだ。
夏以外にもぜひきてみたい。
白い氷の下の部分に小豆がある。ここでは「あづき」という表記。
実は僕、かき氷はあまり得意ではない。嫌いなわけではないのだが、冷たいものをどんどん口に入れることができないのである。
何人かで食べると、僕はいつまでも最後まで氷が残っている。
よく、かき氷を食べて頭がキーンと痛くなると言うが、僕にはその経験がない。
あれは、口に氷をどんどん放り込まないとならないそうだ。
僕にはそれができないのだ。
だからといって嫌いではない。少しずつ食べればいい。
とくにここ「田川堂」の時間はゆっくり流れている。
いつもは半分くらい残すかき氷だが、あまりのおいしさに完食した。
■田川堂 (たがわどう)
東京都中央区新川1-2-7
9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日