西新宿の十二社温泉から角筈へ
旧角筈地区。ビルと民家に挟まれ、路地が続く |
青梅街道と甲州街道を垂直につなぐ十二社通りである。社は「そう」と読む。十二社というのは熊野神社のことである。駅に近い西新宿はすでに開発が進み、大きなビルが立ち並んでいるが、十二社通りを歩いた。左側に入ると、なるほどまだわずかに残っている小さな路地があった。
Nくんは昔ながらの玩具屋を見つけて、ほこりまみれのプラモデル「マクロス」を買っている。何度か路地を抜け、再び十二社通りに出ると、「熊野神社」という交叉点に出る。
ここ熊野神社は、中野長者、鈴木九郎が故郷からここに持ってきたと言い伝えられている。神社の敷地は新宿中央公園とつながっていて、広大な森林の一角となっている。5月の風と日差しが実に気持ちいい。
路地を抜けたところにあった玩具屋。昭和50年代から時が止まった錯覚に襲われた |
この温泉は、夏の散歩の途中に僕はよく立ち寄る。なぜかといえば、ここは冷泉なのである。もちろん加温したお湯もあるので、冬でもOKなのだが、やはり夏のほうがついつい足が向かう。
というわけで、全員で入浴。銭湯ではなく温泉なので、入浴料は1900円。タオルの貸し出しが200円なので、合計2100円である。お湯はコーラ色というか真っ黒。座敷があって、入浴後はここで、くつろぐことも可能。ビール好きの樫原さんは、おいしそうにビールを飲んでいた。
さて、再び歩く。
十二社通りをまっすぐ行くと、甲州街道に当たったところに「角筈区民センター」があった。ああ、ここに名前が残っているんだ。僕たちは新宿駅方面に歩を進める。
街に点在する旧町名の名残。地図からは消えたが、街にはまだ息づいている |
ともあれ、昔は新宿駅周辺は角筈と呼ばれ、市電が走っていたころ、停留所は角筈という名前だったそうで、年配の人々にはなつかしい名前だろう。