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ヒットで批判を封印。続くイチローの進化(2ページ目)

「最後あんなふうになるとは……。生涯忘れられない出来事になるんじゃないか」。肩車されたイチローは語った。ナインからの称賛は、彼が継続してきたの結果に他ならない。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

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ヒットで批判的な声を完全に封印

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での2連覇で始まった2009年、初めての故障離脱という苦難を乗り越え、大リーグ2000安打、9月13日(同14日)のレンジャーズ戦で大リーグ史上初の9年連続200安打という金字塔を打ち立てた。首位打者はツインズのジョー・マウアー捕手に譲ったが、リーグ2位、自身2番目に高い.352をマーク。盗塁は26個で9年連続30盗塁は逃したが、連続6度目のリーグ最多安打225(自身4番目に多い)も記録した。また、サヨナラ安打や退場など記録以外にもさまざまな“初体験”もあった。

「新しいことがいっぱいあった。胃にも穴があくしね。でも、そういうことによって(調整など)大きくアプローチを変えた。たとえば(毎日やっていた)マッサージを月に2、3回と極端に減らしたりね。(新しいことから得たものは)自分の感覚を信じていい。その考えがもっと固くなりました」

プレーオフには進めなかったが、巻き返しの手応えをつかめた1年。この中で大きな意義があったのが、やはり、大リーグ史上初の9年連続200安打になるだろう。なぜなら、この記録で日本人初の野球殿堂入りを確実なものとしたばかりか、イチローに批判的な声を完全に“封印”したのだ。

2001年の大リーグ入り当初から、イチローには「なぜ四球を選ばないのか」という批判が浴びせられた。1番打者で最も求められているのは出塁率。悪球に手を出し、四球を選ばないイチローのスタイルは、フォア・ザ・チームではないと言われ続けた。それを毎年、200本以上の安打を積み重ねることで、その声を少なくしてきた。今や批判の声はほとんど聞こえてこない。

36歳で迎える来季。10年連続200安打はまさに自己との闘いだが、さらなる進化を遂げたイチローならクールにクリアしていくことだろう。

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