投高打低のチーム傾向
レッドソックスは、伝統的に強打者を軸とする「ビッグ・ボール」型のチーム傾向だ。ここ数年レッドソックス打線を引っ張るのが、マニー・ラミレスとデビッド・オルティーズの二人だ。ラミレスは2001年にインディアンスから、オルティーズは2003年にツインズから加入し、二人が揃った2003年以降2006年シーズンまでの4年間、共に100打点以上をマークしている。
対して投手陣は、最近では一年間を通してローテーションやブルペンが安定した試しがない。有名な選手は短スパンで入れ替わり、若手も成長すると移籍してしまい、現在では長らくチームの顔と言える、代表的な投手がいない。ローテーション格のピッチャーは、エプスタインGMによる大胆な選手編成政策で犠牲になるという印象もある。若手投手がこれからのレッドソックスの看板になることを期待されているが、その筆頭は長期契約が予想される松坂かもしれない。
2006年のレッドソックスの成績も、メジャーリーグ30チーム中、得点が9位だったが、失点は24位(多い方から7番目)と投手陣が低迷。柱になる投手の補強はチームの最重要課題だ。
若きGM、エプスタイン
レッドソックスのチーム編成のカギを握るのが、1973年生まれの若きGM、セオ・エプスタインだ。エプスタインGMは、2002年シーズン後に28歳の若さでGMに就任した。プレーヤー経験はなく、アスレチックスの「マネー・ボール」流セイバーメトリックスを重視する方針を採用し、データや統計を駆使している。
しかしレッドソックスは、基本的にビッグ・ボール型でかつ老舗の人気球団なので、有り余るレッドソックス・マネーを背景に大物選手が出入りし、なかなか緻密な編成が出来ているとは言い難い。
エプスタインはまた、大胆な移籍政策を採り、シーズン中でも大物選手の放出に着手したこともある。2004年シーズンの最中には大型遊撃手のノマー・ガルシアパーラを放出し、オーランド・カブレラ遊撃手、ダグ・ミントケイビッチ一塁手、デイブ・ロバーツ外野手を獲得した。
結果的にこの「大物」を捨てて「脇役」を取る作戦はこの年、ワールドシリーズの制覇で結実したのだが、トレードの当時はかなりの賛否両論だった。またレッドソックスにおいては、選手のFAと大物選手の獲得により、移籍スパイラルは留まるところを知らず、毎年シーズンオフにはチーム編成に頭を悩ませることになる。