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パイオニアと天才の共通点とは

野茂投手の2度目のノーヒットノーランや、イチロー選手の活躍に沸くアメリカ・メジャーリーグ。彼らの活躍を引き出した「共通点」とはいったい何なのかをレポートします。

執筆者:梶原 龍太


ボストン・レッドソックス野茂英雄投手が、またも快挙を成し遂げました。先日の4日(日本時間5日)、対オリオールズ戦にて史上4人目となるア・ナ両リーグでのノーヒットノーランを達成しました。前回の「快挙」が1996年の対ロッキーズ戦。実に世紀をまたにかけての偉業達成となります。最近は今季からメジャーに挑戦しているマリナーズ・イチロー選手やメッツ・新庄選手の活躍ばかりが報道され影が薄くなりつつあったところで、さすが言わんばかりの派手な活躍でした。

その野茂選手の経歴ですが、1989年にドラフト1位で近鉄(現大阪近鉄)に入団し、その「トルネード投法」と得意のフォークボールでいきなり18勝8敗防御率2.91で最多勝や新人王のタイトルを総ナメします。その後はパリーグのエースとして君臨しますが、1994年暮れの契約交渉で決裂し、かねてからの希望であったメジャー行きを訴え、任意引退選手となった上で晴れて1995年にアメリカ大リーグ・ドジャースに入団。こちらでも13勝6敗防御率2.54をマークしナ・リーグの新人王を獲得。その後もドジャースのローテーションを守り、地区優勝の経験やこれまた日本人選手初の球宴出場など歴史に名を刻む活躍を続けます。

が、ここ数年はメッツ→ブルワーズ→タイガースそしてレッドソックスと渡り歩く経歴が示す通り右ひじの故障などもあり、不本意な成績が続いていました。しかし、彼の功績は単に彼自身の成績が示すだけではなく、日本人選手の大リーグ挑戦の門戸を開いたということがあげられます。そして今日、冒頭でも触れましたイチロー選手や新庄選手の「日本人野手のメジャー入り」というところまで「発展」してきました。

そのイチロー選手もオープン戦から順調に結果を残し、先日もメジャーで「敬遠」されるなど、実力を高く評価されているのですが、野茂投手にはイチロー選手の実力を引き出したもう一つの功績があります。

野茂投手が近鉄に入団した際、トルネード投法で一世を風靡したわけですが、そのトルネード投法がイチロー選手の振り子打法を生み出したといっても過言ではありません。入団当時、野茂投手の投法は様々なメディアで話題となりました。これまでに例のない投球フォーム、矯正されるのではという憶測も流れました。が、そんな周囲の雑音をよそに球界のエースといえるまでの実績を残しトルネード投法はメジャーにまで輸出するところまで行きました。

では、なぜイチローの振り子打法を生み出したといえるのか?その答えは「監督」にあります。共にブレイクするきっかけを作ったのは、現オリックス監督の仰木監督だからです。もし、野茂投手がトルネード投法で失敗していたら、イチロー選手の振り子打法も日の目を見ない内にお蔵入りしていたかもしれません。野茂投手の成功によって、仰木監督が「個性を信じれば良い結果が生まれる」ということに確信を持ってくれたからこそ、今のイチロー選手であり、メジャーでも充分に通用するイチローになったと言えるのではないでしょうか?

日本でも数多くの実績を残し、そして日本人選手のメジャー進出の道を切り開き、なお歴史に残る活躍を続けている野茂投手。その後輩とも言えるイチロー選手の活躍を引き出しているのも、逆境に追い込まれても決して負けずに挑戦し続ける野茂英雄の功績といえるのではないでしょうか。
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