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総力結集「高地のW杯」を克服した日本代表(2ページ目)

南アフリカ大会のキーワードは「冬のW杯」「高地順化」「グラウンド外の環境」だった。日本代表は、若年層や女子も含めた世界大会の経験を応用し、サッカー界全体で高地のW杯を克服したと言えよう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

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川口能活も太鼓判「過去最高じゃないか」

施設の充実も見逃せない。自由に外出できない南アフリカの特異な環境を考えると、キャンプ中の生活はこれまで以上に重要だった。そもそも長期合宿は生活が単調になりがちで、日増しにやることがなくなっていくものである。ストレスを溜めず、そのうえでサッカーに集中できる環境を整えるのは難しい。

日本代表がキャンプを張ったジョージの施設は、申し分のない環境だった。コテージタイプの部屋は充分な広さが確保され、ホテル内の施設も選手の気持ちをリラックスさせるために十分なものだった。98年フランス大会から4大会連続でW杯に出場した川口能活が、「とにかくすごいところですよ。過去最高じゃないでしょうか」と話したほどである。

フランスとデンマークは、ジョージから南へ50キロほどのナイズナでキャンプを張っていた。練習環境や気候は日本とほぼ同じだったが、違ったのは街の雰囲気である。

ジョージに比べると、少しばかり賑やか過ぎるのだ。小さな街を車で移動していると、ネオンが眩しいのである。選手の眼をサッカーから離したくなければ、もう少し静かな環境を作り出すべきだ、と僕自身は感じたものだった。フランスとデンマークのグループリーグ敗退は、ベースキャンプ地の選定も無関係でないと思う。

上位進出が期待されながらインパクトを記せなかったアフリカ勢も、オフ・ザ・ピッチの準備がいまひとつだったと思う。少なくとも、日本と同等の宿泊施設は用意できなかったはずだし、高地対策に対する周到さも日本に劣っていたのではないだろうか。サポーターが集まりやすいアドバンテージはあったものの、南アフリカの特異な環境が壁になってしまったと思うのだ。

資金力の差も如実に反映

おそらくそこには、資金力が横たわっている。選手個人はヨーロッパで活躍しているが、だからといってアフリカ各国の協会が潤っているわけではない。代表選手への報酬を巡ってかなり多くの国が、それも頻繁に衝突をしているように、協会の資金には限りがあるのだろう。必然的にW杯の宿泊施設や準備へ充てる金額にも制限があり、アフリカ開催というメリットを生かしきれなかったという推論が成り立つ。

高地から今大会を読み解くと、もうひとつのキーワードが浮上する。公式使用球の『ジャブラニ』だ。次回の記事では各国のGKを悩ませたボールから、南アフリカでの一カ月を振り返ってみたいと思う。

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