伏兵の勝ちあがりはフロックではない
こういった強豪校が敗れる中で、盛岡商や作陽、神村学園、八千代といった言わば伏兵がしぶとく勝ちあがってきたのだが、これらのチームも実力は兼ね備えており、決してフロックではなかった。例えば優勝した盛岡商にしてみれば、春のプリンスリーグでは東北で2位(1位は青森山田)で、夏のインターハイでは全国ベスト8に入っている。また、作陽も今年はインターハイで2回戦敗退というのが最高の成績だが、関係者の間では組織的なスタイルは評判が高かった。神村学園や八千代は鹿児島と千葉というサッカー強豪県であり、鹿児島であれば鹿児島実業、鹿児島城西、千葉であれば市立船橋、市立習志野、渋谷幕張といった強豪校がいる中を勝ち上がってきただけに、それだけで地力を備えている。
最低得点数の原因は戦力の分散
ただ今大会、本命といわれた高校が勝てなかった理由の1つとして得点力不足があげられる。今大会の総得点数は104点と、48校が参加するようになって以来最低だった。広島皆実のように3試合連続無得点PK勝ちというチームもあったように、接戦やPK戦が多かったために、本命が勝てなかったと言えよう。もう1つの理由として選手の分散化が挙げられる。サッカー王国の静岡をはじめ、東京や神奈川、千葉、大阪など高校の数が多い都道府県はどうしても選手が分散してしまう傾向がある。そのため、県内で突出した実力を持つ高校が出難くなり、その結果高校選手権に出場できない危険性をはらんでしまう。そのため、確実に出場できる地方の強豪校へ進学する子供も出てきているのだ。